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  • 2020.7.15(水)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.0715

    みなさまこんにちは

    関西フィル50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0715、
    今回は“つれづれシリーズ”として、元数学教師の事務局スタッフの
    文章です。

    ここまで理路整然と書いてみると、「おぉ…、なかなか…」と
    音楽が手強い物に感じられますが
    きっと、難しい数式でも表現できる緻密で正確な物なのでしょうね、
    普段はほとんど意識していませんが。

    でもまぁ、音楽は素晴らしく楽しいものであることに変わりは
    ありません
    気楽な気持ちでお読みください!!

     

     

     

    数学と音楽とは密接な関係があるという話をご存じですか。
    その関係について、改めて、調べてみました。

     「ドレミファソラシド」という音階を最初に発明したのは、
    「三平方の定理」でも有名な古代ギリシアの数学者、
    ピタゴラス(紀元前582年~紀元前496)です。

    カピトリーノ美術館(ローマ)のピタゴラス像 

    ある日、彼は、鍛冶屋の前を通りかかったときに、
    職人がハンマーを打ち下ろす「カーン、カーン」という音の中に
    きれいに響き合う音とそうでないものがあることに気づきました。
    これを不思議に思った彼は、鍛冶屋の職人のもとを訪れ、
    いろいろな種類のハンマーを手に取って調べ、きれいに響き合う
    ハンマーどうしはそれぞれの重さの間に、2:1や2:3といった
    単純な整数比が成立することを発見します。

     人が美しいと感じる響きの中に、単純な整数比が潜んで
    いるという意外性に惹かれた彼は、その後、高さの違う響き
    について研究しました。

    まず、彼はモノコード(下図)という楽器を発明しました。

     

    モノコードというのは共鳴箱の上に弦を一本張って、駒(こま)を
    移動させることによって、振動する弦の長さを変えられる装置のことです。

    このようなモノコードを2つ用意し、片方のモノコード(モノコードA)の
    弦の長さは固定しておき、これを基準とし、
    もう一方のモノコード(モノコードB)は駒を動かすことで
    弦の長さを短くしていきます。

    そうして2つの弦を同時に弾き、きれいに響き合う位置を探し始めました。
    すると、モノコードBの弦の長さがモノコードAの半分になったとき、
    高さの違う2つの音が重なり合うことが分かりました。
    (オクターブです!)

    彼はこの発見により、弦をいろいろな長さにして、相性のいい音色を
    探そうとしました。
    例えば、モノコードBの弦の長さを3分の2にしたときの音色は、
    モノコードAの音色と非常に相性が良く、美しく聞こえました。

    このようにしてピタゴラスは、弦の長さを調節することで、
    1オクターブの中に、相性よく聞こえる複数の音を発見したようです。

    「万物は数なり」
    宇宙のすべては、数の法則に従い、数字と計算によって解明できるという
    彼の思いが、現在の音階の基礎を作り上げたのではないでしょうか。

    もし、ピタゴラスが存在していなかったならば、現在のような音階が
    存在していなかったかもしれませんね。

     

     

     

    現在、この時ピタゴラスが発見した「相性の良い音」の組み合わせに
    ついては、無限に広がっているように思います
    バロック・古典の音楽から、近現代の作曲家の音楽まで、
    音の組み合わせによって生まれる響きの種類の多いこと
    昔の人に比べて、これらを全部楽しめる現代の私達は幸せです♪♪
    そして今後の、「音楽」の有り方の変化が楽しみですね~。

    それではまた「5」の付く日にお会いしましょう!!

     


  • 2020.7.13(月)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0713

     皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0713
    今回は第1ヴァイオリン奏者、松本リカからのメッセージをお届けします。

     いつも関西フィルを応援頂き有難うございます。
    楽団創立50周年を迎えることが出来、これ迄に関わって下さった全ての方のご尽力、ご支援に心より感謝申し上げたいと思います。 

     記念すべき年となりましたが、パンデミックとなった新型肺炎、先の見えない不安に覆われ世界中の人が今、自分に何が出来るのか、何をしたら良いのか模索しています。

     大学卒業後オーケストラの魅力に惹かれて入団しました。
    オーケストラは世界で最も大きい楽器と言われるように、多彩な楽器を使って描かれた楽曲の力は息を呑む様な繊細な音から、まさにダイナミックな表現まで圧倒されるものです。音楽は常に人間と共にあり、その祈り、心を伝えます。
    関西
    フィルも音楽を愛するメンバーと共にその本質を伝える楽団として
    成長してきたと思います。

     初めて生の演奏に触れる方、長年支えて頂いている方々に安心して
    コンサートホールに来て頂けることの大切さを、今このような活動自粛が続く状況となり改めて実感しているところです。

     アフターコロナは今とは異なる世界になると云われています。
    関西フィルは未来に向かって進みます。最初は小さな編成からになりますが
    50周年記念事業を携えて動き始めています。どうぞ変わらぬご支援をお願い致します。

     会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしています。
    皆様、どうぞご自愛下さい。

    第1ヴァイオリン奏者 松本 リカ


  • 2020.7.13(月)
    公演情報 事務局からのお知らせ
    7/17公演払い戻し方法のお知らせ

    先日、開催のお知らせをいたしました
    7月17日(金)「第312回定期演奏会」につきまして、
    残念ながらご来場が叶わないお客様には払戻しをいたしますので、
    払戻し方法をご案内いたします。
    公演開催・プログラム変更のお知らせ
      ⇒ https://kansaiphil.jp/kansaiphil_news/13232/
     
     
    【払い戻し方法】
    関西フィルでチケットをご購入いただいた方
    ①お振り込みによりご返金させていただきます。
    関西フィル事務局に、「7月17日の演奏会チケット」を特定記録郵便でお送りください。座席変更後の新しいチケットをお持ちのお客様は、そちらも併せてお送りください。その際、お客様の口座情報(メモ)を同封してください。後日、ご指定の口座にチケット返送料を含めたチケット代金をご返金させていただきます。
      払い戻し期間:2020年7月9日~8月31日
      期間内に払い戻しのお手続きをお願いいたします。   
       送り先:〒552-0007 大阪府大阪市港区弁天一丁目2番4-700 
             関西フィルハーモニー管弦楽団「7/17」返金係 宛
    口座情報:金融機関名、支店名、支店番号、口座種別(普通もしくは当座)、口座番号、口座名義人(フリガナ)、お客様のお名前とご連絡先(電話番号)をご明記ください。
    (ゆうちょ銀行の場合は、他金融機関からの振込用の「店名(数字)/預金種目/口座番号/口座名義(フリガナ)」をご記入ください。)

    ※半券のもぎられたチケットは無効となります。
    ※チケットをオンラインカード決済・ファミリーマート引取でご予約されているお客様は期限内にお引き取りください。
    ※特定記録郵便以上の郵送代はご返金いたしかねます。
    ※購入先の違うチケットが届いた場合は着払いにてお客様に返送致しますのであらかじめご了承ください。
    ※ご返金に際し、時間を要する場合がございます。ご了承の程、お願い申し上げます。

    ②関西フィル事務局にて現金でご返金
    (準備の都合上、お越しいただく前に事前にご連絡ください)
    必ずチケットをご持参ください。座席変更後の新しいチケットをお持ちのお客様は、そちらも併せてご持参ください。チケットがない場合はご返金出来ません。
    ※尚、事務局までの交通費については、お支払いいたしかねますのでご了承ください。

    《ご返金対象》
    〇チケット代金
    〇払い戻しに伴うお客様からのチケット返送代(特定記録郵便代)
     <郵送のお客様> チケット代金+特定記録郵便代
     <窓口返金のお客様>チケット代金

    ザ・シンフォニーホールでチケットをご購入いただいた方
     払い戻し期間:2020年7月9日~8月31日
    ご購入いただきました「ザ・シンフォニーホール」でご返金のお手続きをお願いいたします。
     詳細はこちらでご確認ください。→→→ http://www.symphonyhall.jp/
    【ザ・シンフォニーホール 払い戻しに関する問い合わせ】
         ザ・シンフォニーチケットセンター TEL:06-6453-2333
                    (10:00~18:00 火曜日:定休日)
     

    「チケットぴあ」でチケットをご購入いただいた方
     払い戻し期間:2020年7月9日午前10時~831
        期間内に払い戻しのお手続きをお願いいたします。
    払い戻し方法は、チケットの受取方法などにより手続きが異なります。
    払い戻し方法詳細については、下記の「払い戻しについて」をご確認ください。
    <払い戻しについて> http://t.pia.jp/guide/refund.html
    【チケットぴあ 払い戻しに関する問い合わせ】
    チケットぴあインフォメーション TEL0570-02-9111 (10:0018:00


  • 2020.7.11(土)
    関西フィルNews
    明日7/12(日)は「関西フィルびわ湖ホール特別演奏会~エンター・ザ・ミュージックSPコンサート~」です!!

    このたびの記録的な集中豪雨により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 今なお避難されている皆様、復旧作業に従事されている皆様のご安全を心よりお祈り申し上げます。

     

    さて…、明日7/12(日)は「関西フィルびわ湖ホール特別演奏会~エンター・ザ・ミュージックSPコンサート~」です

    既にご案内させていただいた通り、2020年7月12日(日)滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで開催を予定しております「関西フィルびわ湖ホール特別演奏会」は、新型コロナウイルス感染症拡大を巡る状況に鑑みまして、感染予防対策を講じた上で、プログラムを変更して開催いたします。

    ■変更後のプログラムは以下のとおりです。

    ・マックス・スタイナー:風と共に去りぬ

    ・チャイコフスキー:弦楽セレナードより第1楽章

    ・モンティ:チャルダッシュ ※ヴァイオリン:富樫美玲・富樫音葉

    ・NHK大河ドラマメドレー(利家とまつ、風林火山、篤姫、平清盛、真田丸)

    ・ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11(室内楽版)※ピアノ:清塚信也


    ピアノソリストは今をときめく人気ピアニスト!清塚信也さんです(o(´∀`)o)ワクワク

    当初はラプソディー・イン・ブルーを演奏していただく予定でしたが、コロナ禍の影響もあり、ショパンのピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11(室内楽版)に変更させていただきました。

    ちなみに、昨年8月に行われた文化パルク城陽での「関西フィル第9回城陽定期演奏会」にご出演いただいた際にも同協奏曲を演奏していただきましたが、明日のびわ湖公演は弦5部伴奏による「室内楽版」です!

    少しだけリハーサルの様子をお見せしましょう!!

    繊細かつダイナミックな表現、そして理知的な解釈…今回の室内楽版では、ショパンの美しさがより際立つ事でしょう♫

    たくさんのお客様に聴いていただきたいところですが、日の公演の前売りは既に終了しており、また当日券の販売はございません。

    演奏会の模様は、BSテレ東7ch「エンター・ザ・ミュージック」(毎週土曜朝8:30~9:00)で後日放送されますので、ご来場いただけなかったお客様は是非番組の方をご覧くださいませ。

    首席指揮者、藤岡さんとの共演は実に5ヶ月ぶり…!!!
    明日は会場でお客様とお会い出来る事、楽しみにしております!!!!


  • 2020.7.5(日)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.0705

    みなさまこんにちは!

    関西フィル50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0705です。

    今回は“横顔シリーズ”として、「徳岡写真館」を
    お届けしたいと思います

    第一ヴァイオリン奏者の徳岡裕紀は、普段からよくカメラを
    持ち歩き、写真を撮っています。
    2015年のヨーロッパ公演の時にも資料作成のために、
    「徳岡さん!〇〇〇の写真撮っていませんか??」と
    写真を提供してもらっていました…。
    “横顔シリーズ”「徳岡写真館」、何回かに分けて徳岡の写真を
    ご紹介します♪♪

    徳岡に、カメラとの馴れ初めを尋ねてみたところ…

      子供の頃からカメラに限らずラジオや無線機、車など、
       機械には
    とても興味がありましたが、改めてそのきっかけが
       何だったのかは・・・
    よくわかりません。
      でも、小さな筐体にボタンやレバーや目盛りやレンズが
       ぎっしり
    収まっているのを見ると今でもワクワクします。 

    とのこと。
    徳岡少年、写真ではなくて“カメラ”自体が魅力的だったのですね。

     現在、デジタルカメラ2台と交換レンズを数本所有していて、
    普段はその中から最軽量の組み合わせを持ち歩いているとのこと。

     第一回目の今回は、まだまだ梅雨が明けない日々なので、
    清々しい気分になっていただける写真をご紹介致します~

     

    梅雨の季節の清々しい物として外せないのは紫陽花ですね。

    はっとするほど鮮やかなブルー!

    ふんわりした気持ちになるピンクの紫陽花も。
    土の状態で色が変わる紫陽花、雨の日も明るい気持ちになれますよね!

    紫陽花の花言葉の中には、「家族愛」「家族団らん」という言葉が
    あるそうです。
    まさにこの季節のステイホーム・フラワー

    そして雨と言えばカエル。雨とカエルはセットです

    カエルが鎮座している場所が、
    大砲の砲身の上なのか、チャッカマンなのかによって
    カエルの大きさがかなり変わってきますよね~。
    (正解は徳岡の車のアンテナ。丹波市だそうです。)

    カエルが何をつぶやいているのか、想像してみましょう。

     

    「やっべっ!行き止まりやん。。」

    「マスクしていないから絶対しゃべりませんよ、私は。」

    「下りるのめんどくさくなってきたな~」

    「この形状はトンボがとまるはずやねん。」

     

    カメラマンからは
    「“雨あめ降れふれもっと降れ”やろ。」
    と素直な回答が。

     

    次はマイナスイオンたっぷりの1枚
    熊本県南阿蘇村の有名な湧き水、白川の水源とのことです。

    少しシャッタースピードを遅くする(1.3秒)、という手法で
    このニュアンスになるそうです。

    水音が聴こえてきますね~。
    体感温度も下がってきました!

    お次は季節の食べ物
    宮崎県延岡市のマンゴーパフェ。
    夏の色、夏の香りです!!

    ぱっと見、すぐにパフェだとわかりませんよね。

    太陽の塔的な、
    エミール・ガレのガラスのオブジェ的な、
    ガウディの建築物的な、
    何かに見えませんか??

    暗闇の中に浮かび上がる、ワイルドながら妖艶なマンゴーパフェ
    なかなかの迫力です!

     

    最後は、熊本県宇城市で撮影された写真をご紹介します。

    コロナ禍でガラッと日常が変わってしまい、来月、どのような世の中に
    なっているのか正直わかりませんね。
    そんな中にもきっとひとかけらの希望はあるはず、と前向きに
    過ごしていきたいものです
    そんな想いを込めてこの写真をご紹介します。
    美しい夕日の次の日は晴れ

     

    徳岡カメラマン、当たり前ですがオケの中ではヴァイオリンを
    しっかり弾いています。

    コンサートマスター、岩谷の左に座っているのが徳岡裕紀です!
    応援よろしくお願いします

     

    “横顔シリーズ”「徳岡写真館」、次回をお楽しみに!

    ではまた“5”の付く日に

     


  • 2020.7.2(木)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0702

     皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0702
    今回は、特別契約Vc首席奏者、向井航からのメッセージをお届けします。

     「よく弾いた平成時代の、最後の本番が昨日の関西フィル第300回定期演奏会だった。良い演奏会になって、良かった。
    関フィルに入ってすぐの頃に第200回定期があって、200回かぁ、
    長い歴史があるんだな、と思った。
    200〜300の歴史に関わってきたんだと思うと、感慨深い。」

     2020年、関西フィルハーモニー管弦楽団は創立50周年を迎えた。
    「人生は退屈すれば長く、充実すれば短い」というシラーの言葉があるように、「長い」ということが無条件で尊いとされるわけではないが、
    楽団創立当時からの先輩達は
    「良い時も悪い時もあったけど、乗り越えてきた。これからはお前たちの時代だ」と言って下さる。その言葉は、音楽をより多くの人に届ける貢献を今後も継続し、発展していくことを期待して下さっているのだと、私は理解している。

     2007年、当時は最年少で27歳の時に関西フィルの首席チェロ奏者に就任した私は、今年で40歳になる。
     オーケストラ奏者になってからの13年間という時間は、
    長いような気もするし短いような気もするが、楽団の50年という歴史は、
    生きてる時間が40年弱の私からすると、尊敬の念を抱く長さだ。

     関西フィルに入るまでの私は、クラシックの分野以外にスタジオミュージシャンとしても仕事をしていた。ハンガリーに留学した後、藝大に復学した時からチェリストとして演奏の仕事をするようになった私は、多くの素晴らしい先輩や友人に恵まれ、運良くその世界での仕事の機会を得た。
    自分でもバンドを組んでデビューしたこともあって、
    当時は国内外のロックアーティスト、J-popや演歌、映画のための音楽、
    テレビドラマやCMのための、いわゆる劇伴音楽をレコーディングスタジオで録音する仕事で、都内のスタジオを毎日駆け回っていた。

     Liveやテレビ出演するアーティストの後ろでも演奏し、弱冠20歳そこそこの私が、著名なミュージシャンやアーティストの皆さまと行動を共にさせて頂き、自分も、自分が演奏する音楽で多くの人を幸せにしていると勘違い出来るほど、華々しい世界を沢山見せて頂いた。 

     しかし、新興の音楽のクリエイティブな魅力が大好きでありながらも、
    チェロというクラシック音楽を起源とする楽器を演奏する以上、
    一度はオーケストラに所属して、スケールも歴史も壮大な交響曲やオペラを
    演奏することが、何にも代え難い夢の一つだとも感じていた。

     一般的に「クラシック音楽」と言われるものは、グレゴリオ聖歌を含まないとしても16世紀から、400年以上の歴史があると言える。
    クラシック音楽で使われる楽器の種類は多種多様で、オーケストラでは
    その代表的なものを集めて構成され、演奏されている。

     チェロという楽器も300年以上の歴史があり、かつては
    Basso continuo(通奏低音)として主にリズムとベースラインという役割が
    多かったのだが、古典以降は、立ち位置を低声部に置きながらも
    次第に編成の大型化や楽器の改造も加わり、内声、対旋律、主旋律も演奏するオールマイティな楽器に進化していった。
    チェロ を必要とする曲、チェロの為に書かれた曲がとても沢山存在するので、日々探求、研究していても未だにその魅力と奥深さは計り知れない。

     その300年の歴史の中で、多くのチェロが製作されているので、現在では様々な年代の楽器が使用されている。私の楽器は1928年、イタリアのトリノで製作されたものだそうで、引き算が間違っていなければ今年92歳になる。もちろん0〜300歳以上のものが存在するので、比較的に若いものと言えるかも知れない。
     しかし、チェロをつくる為に使われる木は、少なくとも樹齢100〜200年以上だそうで、つまりこの楽器に使われている木が地球上に生まれてから
    およそ200〜300年以上経つということになる。

     そんなチェロを自分が練習で弾いているときに、なんでうまく弾けないんだ…という局面に幾度となく遭遇する。そういう時はいつも、自分より圧倒的に長い年月を知っている「楽器」に、その答えを教えてもらう事にしている。
    それは即ち、うまく弾けないのは自分なのであって、うまく弾きさえすれば、楽器は素晴らしい音で音楽を奏でてくれる。
     地球に根をはった大木になるまでの長い年月に見てきたもの、感じてきた事、知っている事、楽器となってからの92年間にも、きっと何人もの素晴らしいチェリストが弾いてきたことだろう。何度も素晴らしい音楽家、楽器達とアンサンブルをしてきたことだろう。だから楽器は良い音も、良い弾き方も、良い音楽も全て知っていて、うまく弾けた!と自分で思えた時、楽器が素晴らしい音で歌ってくれた時、
    「そう、その弾き方なら、こんな音が出るよ。」と、教えてくれるのだ。
    そして楽器のこの先の100年の為にも、私が使っている時代に悪い音に
    するわけにはいかないので、少しでもより良い音が出るような弾き方を
    銘肝して弾いている。

     オーケストラも、楽器と似た性質がある。
    良い時間を過ごせば良い音に、まあまあな時間であればまあまあな音になると思うし、進む方向も、その寿命も、関わる人によって大きく変わってくると思う。

     次々と勉強して弾き続けた13年間は、あっという間の短い時間だった気もするが、私が関わった時間もオーケストラにとって少しでも、良い時間であったのだろうかと、自問出来る程度には、長くやってきた気もする。

     50年という時間、多くの音楽家と関わってきたこのオーケストラは、
    少しでも良い音で鳴るためにはどうしたら良いのか、
    低声部の位置から模索を続ける私に、これからもきっと、
    たくさんの事を教えてくれる。

     

     現在、新型コロナウィルスの影響で公演中止があいつぎ、
    音楽業界全体が未曾有の危機に直面しています。
    もうコンサートホールでオーケストラという形態の演奏会をしていくことは
    無理なのではないか、と悲観的に思わざるを得ないような状況が続きますが、多くの応援メッセージや寄付を頂き、深く感謝申し上げます。

     山登りをする人にとって、どの山もそれぞれの魅力やおもしろさがあるそうです。
    関西フィルは数ある山の一つとして、これまでの50年に敬意を払いつつ、これからの50年も、歴史ある「音楽」を多くの人と共有する役割を担う団体で
    あり続けたいと思っています。

    特別契約Vc首席奏者 向井 航

     


  • 2020.6.29(月)
    公演情報 関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    7月7日(火)に初ライブ配信します! ㈱安井建築設計事務所佐野社長へのインタビュー
     草創期より当楽団をご支援いただいております
    株式会社安井建築設計事務所様に本社1階ロビーをご提供いただき、
    7月7日(火)18時30分から七夕コンサート(弦楽四重奏)を
    初ライブ配信します。
    コンサートを企画してくださった株式会社安井建築設計事務所、
    代表取締役社長、佐野吉彦様にインタビューさせていただきました。 

    コンサートを企画された趣旨・目的をお教えください。

     私は関西フィルのファンで一日も早く演奏を聴きたいと思っていました。
    4・5月ごろ、本来の演奏会を開催するのが難しい状態だったとき、
    「オンライン」という新しいカタチがあってもいいのではないかと
    考えました。
    コンサート会場ではなく、違った場所からオンラインでコンサートを
    配信するのも新しいですよね。音楽のやり方を試すにはいいチャンスで、
    プラス面が発見できるかもしれません。
     世界に向けて関西フィルの音楽が飛びだしていくのが、
    しかも私たちの会社のロビーからというのは
    大変素敵なことだと思っています。 

    プログラムの感想をお聞かせください。

     後半のプログラムが、音楽は世の中に必要だけれども、
    協力者がいないと成り立たないと訴えていた作曲家で
    固めているのは面白い。
    今のコンサートを開催する状況に似ていますね。
    そういう意味では弦楽四重奏でこんなにチャレンジングなプログラムを
    作っていただいて、嬉しいです。

    ♫プログラム
    ♪前半                         

    ・ドビュッシー:『小組曲』より第4曲“バレエ”       
    ・ハイドン:弦楽四重奏曲第67番『ひばり』より第1楽章    
    ・ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番『悲愴』より第2楽章    
    ・J.シュトラウス2世:常動曲              
    ♫後半
    ・ポルカ「金曜日」~ソロコフ~グラズノフ~リャードフ~による共作 
    ・『B-la-fの主題による弦楽四重奏曲』より第3楽章 第4楽章

     それなら、このプログラムの性格を表すために
    「この曲が時代を変えた~弦楽四重奏でたどる音楽史~」という
    キャッチコピーはどうでしょう、と提案しました。
    実際の演奏がきっかけで元気になるだけでなく、クラシックは時代を
    引っ張る力がある、面白い存在だと感じてもらえたら楽しいなと。

    文化やクラシックに対する思いをお聞かせください。

     もともと両親が音楽好きで、幼少のころから影響を受けています。
    高校1年生のとき、1970年開催、大阪万博の鉄鋼館で、
    まだ若かった武満徹さんなどの個性的な現代音楽を連日聴く機会があり、
    音楽の拡がりみたいなものを実感しました。
    だからなのか、ちょっとひねくれた音楽の聴き方が自分の中に
    発生したかもしれません。

     アマチュアではありますが、自分で演奏したり、コンサートの企画・運営も
    経験してきたりしたので、音楽の面白い聴かせ方があるのではないかと、
    いつも考えています。大真面目に新しいことにチャレンジするのが、
    これからの芸術に大事ではないかと言う気がしています。

     それで、今回のプログラムは名曲コンサートではなく
    マニアックでも大丈夫ですよ、とコンサート担当の方に伝えました。
    新しい曲と出会ったり、普段違うイメージで聴いていた作曲家を
    再発見したりするのはすごく楽しいですよね。
    コンサートも非常に楽しみです。



    ※写真クリックで拡大します※ 

     音楽は抽象芸術、建築は具体芸術なので単純に
    比較することはできませんが、例えば、ブラームスの曲は、
    ヴァイオリンのメロディーにチェロが対比するカタチで
    違うメロディーが重なり、デリケートなハーモニーとバランスが
    取れていますよね。
    一方でシューマンみたいに、いい意味でバランスの悪い感じも魅力です。
    全体を見たら平凡でも、別のところで凄みが潜んでいたり、
    作曲家によってポイントが違うのが面白いと思います。
     つまり、曲におけるバランスや構成が、
    インスピレーションになっています。
    建築も同じでデザインも構造も環境技術もあり、
    色々なことがバランスよく成り立っていないと
    いい建築にはなりませんから。

    オンライン・コンサートをご視聴くださる方に
    メッセージをお願いいたします。

     夏の始まりに、関西フィルのちょっと新しい響きを楽しみませんか。
    七夕の夜は、ホールではなくご自宅でお楽しみいただける
    オンラインコンサート。
    弦楽四重奏とともに、平和な未来の夢を描きながら、
    健やかに過ごす夕べとなりますように。



    ※バナークリックでコンサート概要をご覧いただけます※

    配信時間:約1時間を予定
         ※変更になる場合がありますのであらかじめご了承ください。
         ※生配信終了後、アーカイブ配信いたします。

    配信URL:https://youtu.be/i6QW2yd4yvk


  • 2020.6.26(金)
    関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    6月27日(土)第311回定期演奏会にご来場のお客様へお願い

     おはようございます。
     明日、6月27日(土)第311回定期演奏会にご来場されるお客様へ
    次のお願い事項をご確認のうえ、ご来場いただきますよう、
    お願いいたします。当日体調にご不安のある方はくれぐれも
    ご無理なさらないようお願いいたします。

     1.入場時には体温チェックをさせていただきます。
             37.5度以上の方は入場をお断りさせていただきます。
             入場までにお時間がかかることが予想されますので、
             時間に十分な余裕をもってお越しください。

     2.開演前、休憩時間の際は、極力会話を避けるよう
             ご協力をお願いいたします。スタッフも極力声を
             出さないようにいたしますことをご了承ください。

     3.プログラムや配布物は手渡しではなく、
             設置による配布とさせて頂きます。

     4.チケットは、スタッフが目視で確認させて頂いた後、
             ご自身でもぎって所定のボックスにお入れください。

     5.お客様におかれましても入場時の手指消毒、
             マスク着用なきご入場はお断りいたします。
             マスクのご用意は致しかねますのでご容赦ください。

     6.「ブラボー」等の掛け声は禁止とさせていただきます。
              また、楽章間での咳払いは、できるだけお控え頂きますように
              お願いいたします。

     7. 貸出車椅子のご利用は、介添え人の方とご来場及び、
              公演前日までに関西フィル事務局(0665771381)まで
              ご連絡いただきました方に限らせていただきます。

     8.感染者が発生した場合など、必要に応じてお客様の 
             個人情報(お名前・連絡先)を保健所等の公的機関に
             提供させていただく場合がございますので、ご了承ください。

            ザ・シンフォニーホールからのお願いもご確認ください。


  • 2020.6.25(木)
    公演情報 関西フィルNews
    関西フィル弦楽四重奏「オンラインコンサート」のお知らせ(協力:安井建築設計事務所様)

    皆様こんにちは!

    さて、この度は草創期より当楽団をご支援いただいております安井建築設計事務所様企画・ご協力のもと、初の試みとなる<オンラインによる弦楽四重奏コンサート>を開催させていただく事となりました。
    今般のコロナ禍では、音楽をはじめ多くのイベントが延期・中止となりましたが、その代替手段として演奏をWEBで動画配信する手法が注目され、普及が進んでいます。
    プログラムに工夫を凝らし、このスタイルが新たなファンの獲得にもつながることを願っています。リモートだからこそできるアイデアを模索し、試行を重ねていきたいと考えています。
    関フィルの新しいチャレンジにご期待ください!

    また、今回のオンラインコンサートは、どなた様もYoutubeから無料で視聴いただけますが、今後、コロナ禍からの活動再開に弾みをつけたく、支援金のご協力をお願いすることにしました。
    皆様からの楽しかった!応援したい!といったご支援の「お気持ち」を、<応援チケット>購入を通じて募らせていただきたく、Peatixにページを立ち上げました。
    配信ライブ視聴後から<応援チケット>は購入いただけますが、それを強いるものではなく、集まった「お気持ち」は全て当楽団の運営に大切に使わせていただきます。

    どうぞ活動の趣旨をご理解いただき、あたたかいご支援を何卒お願い申し上げます。

    ■開催概要
    オンライン・ライブコンサート「この曲が時代を変えた ~弦楽四重奏でたどる音楽史~」

    配信開始日時2020年7月7日(火)18:30配信予定(ライブ配信) 
    配信時間:約1時間を予定
         ※変更になる場合がありますのであらかじめご了承ください。
         ※生配信終了後、アーカイブ配信いたします。
    配信URLhttps://youtu.be/i6QW2yd4yvk


    収録場所/安井建築設計事務所本社ビル1F

    演奏曲目/ドビュッシー:『小組曲』より 第4曲“バレエ”
         ハイドン:弦楽四重奏曲第67番「ひばり」より第1楽章
         ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番『悲愴』より 第2楽章
         J.シュトラウス2世:常動曲 op.257
               ポルカ「金曜日」~ソコロフ~グラズノフ~リャードフ~による共作
         『B-la-fの主題による弦楽四重奏曲』より
                           第3楽章(ボロディン作曲)

                           第4楽章(グラズノフ作曲)
              ※出演者・曲目・曲順など、内容が変更になる場合がございます。予めご了承下さいませ。

    料金/無料

    ご支援:応援チケット「Peatix」/http://ptix.at/CDH8gU
    応援チケット:視聴は無料ですが、ぜひ、このチケット購入を通じてご支援をお願いいたします!
    ※応援チケットの購入は、生配信終了後~7月21日(火)18:00までといたします。

    続きを見る


  • 2020.6.25(木)
    50周年記念コラム 関西フィルNews
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0625

    みなさま、こんにちは!

    「50周年記念コラム~未来の関西フィルへ」、
    今回は“本業シリーズ”です。
    50周年記念コラムOp.0425で「バンダ」について書きましたが、
    今回はその続きです!!

    「バンダ」についてはぜひコラムOp.0425で復習してください♪

     

          ― バンダの世界(2)―

     

     

    前回ご紹介したバンダが出没頻度Aだとしたら、(A~Cの3段階)
    今回はB・Cレベルのバンダをご紹介します~!

    まずは2014年に関西二期会さん主催のヴェルディ:ドン・カルロで
    演奏させていただいた時の、大人数のバンダ演奏。

    演出によって演奏する場所は色々あるようですが、この時は、
    舞台の上手袖中で演奏しました。
    (オーケストラ本体はオーケストラピット内)

    このスペースで演奏しました。奥に見えているのがオペラの舞台です。

    (バンダを配置している時の写真撮れず。バンダ用の譜面台が端に寄せてあります)

    このスペースにどんな編成のバンダを配置したかというと・・・

    ぐるっと円形になっている13名がこの時のバンダです。

    クラリネット・ホルン・トランペット・トロンボーンという楽器編成。
    上記写真の右下にいる4人のホルンが、本体のオーケストラの左奥部分
    になります。
    関西フィル練習場での写真ですが、バンダは本体のオーケストラとは
    逆の方を向いてバンダっぽい音色になるようにして練習しました。
    バンダの人数が多いので、円形の中心に副指揮者の方が
    いらっしゃいますね。

    王様が登場する前の、貴族たちがそぞろ歩いている場面でバンダが
    演奏したのですが、オーケストラピットからの音とは違うとても
    立体的な音響になり、素晴らしい演出効果でした!!

     

    そして次は楽器の存在が天然記念物レベルの、
    ベルリオーズ「幻想交響曲」で使用する鐘!!

    「ド」と「ソ」の音程がある大きな鐘です。
    鐘の直径、30~40㎝はあるでしょうか。
    この大きさのとおり、かなり低く大きく響く鐘です。
    ホール内の空気を一変させる影響力があります!!

    恋人を殺してしまった主人公が処刑され、その「弔鐘」を
    表す音として舞台袖の中から打楽器奏者が叩きます。

    現在、プロオーケストラは国内の3か所からこの楽器を借りています。
    すなわち!
    「幻想交響曲」は国内での同じ日に、最大でも3公演でしか演奏できないと
    いうことです!!

    日本のプロオーケストラが、この鐘の取り合いで取っ組み合いの 喧嘩に
    なったことは幸いながらまだ無いようです。

     

    そしてレベルCのバンダ。

    関西フィルでも、これまで数多くの“バンダ”入り楽曲を演奏
    してきましたが、 これは初めて!!

    ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」でしか使われない、
    世界で数台しかないホルツ・トランペット(木製トランペット)です。

    (C)s.yamamoto     ホルツ・トランペット:白水 大介

    楽器のバランス取るのが難しそうですね~。

     

    オルガン前、右上でスポットライトが当たっている場所で演奏しています。

    (C)s.yamamoto 

    イゾルデが乗っている船の到着を知らせる音として演奏されます。
    プロ奏者でも初めて吹く楽器だったので、とても難しかったそうです。

    さすがに珍しい楽器だったので、当時のブログで詳しく
    説明していましたー。

    2016年のブログ記事

     

    バンダで使われる頻度の高いトランペット、バンダ演奏の経験も多い
    白水大介にバンダについて聞きました♪

     

    ―バンダで楽器を吹くときに意識していることは?

    舞台裏で演奏するバンダは、客席では少し音程が低く聴こえ気味に
    なるので、 明るめの音色を意識して吹いています。
    お客様の顔が見えない場所での演奏なので、逆にリラックスして
    吹けているかもしれません。
    花道や客席スペースでのバンダの場合、時差のせいで遅れて
    聴こえないよう、 ほんの少し早いタイミングで吹いているのですが、
    逆に私の演奏場所に近いお客様には
    「この人吹くタイミングが早くない?」と思われていないか
    若干気になります(笑)。

     

    ―バンダ演奏でのエピソードを。

    「ローマの松」で、一度舞台上から舞台袖のバンダ演奏に移り、
    その後また舞台上に戻った演奏会の後、
    観に来てくれていた両親から
    「どうしたん?お腹痛かったの?」(トイレ行ったのか?)と
    真顔で言われたこと。

     

    ―バンダで吹く時の醍醐味は?

    プレッシャーもあるけど重要な見せ所でもあると思います。
    トランペットのバンダは何かの到着を表現することも多く、
    ”救世主の到着”という設定の時には「今日の演奏会を救うぞ!」
    ぐらいの意気込みで演奏しています!
    応援よろしくお願いします!

     

    バンダ演奏がある時は、練習日から当日のリハーサルまでと、
    音量・音色・演奏場所(舞台からの距離)と、かなり細かい
    調整を繰り返します。
    演奏時間としては短いことが多いのですが、静かな中での
    ソロ演奏が多いので、奏者のプレッシャーは計り知れません。。。

    2回にわたるバンダの世界、感じて頂けたでしょうか?
    バンダのある曲、ほかにもたくさんあります。
    舞台以外にもぜひ注目してみてください!!

     

    それでは、次の”5”が付く日にまたお会いしましょう♪♪♪