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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0625

みなさま、こんにちは!

「50周年記念コラム~未来の関西フィルへ」、
今回は“本業シリーズ”です。
50周年記念コラムOp.0425で「バンダ」について書きましたが、
今回はその続きです!!

「バンダ」についてはぜひコラムOp.0425で復習してください♪

 

      ― バンダの世界(2)―

 

 

前回ご紹介したバンダが出没頻度Aだとしたら、(A~Cの3段階)
今回はB・Cレベルのバンダをご紹介します~!

まずは2014年に関西二期会さん主催のヴェルディ:ドン・カルロで
演奏させていただいた時の、大人数のバンダ演奏。

演出によって演奏する場所は色々あるようですが、この時は、
舞台の上手袖中で演奏しました。
(オーケストラ本体はオーケストラピット内)

このスペースで演奏しました。奥に見えているのがオペラの舞台です。

(バンダを配置している時の写真撮れず。バンダ用の譜面台が端に寄せてあります)

このスペースにどんな編成のバンダを配置したかというと・・・

ぐるっと円形になっている13名がこの時のバンダです。

クラリネット・ホルン・トランペット・トロンボーンという楽器編成。
上記写真の右下にいる4人のホルンが、本体のオーケストラの左奥部分
になります。
関西フィル練習場での写真ですが、バンダは本体のオーケストラとは
逆の方を向いてバンダっぽい音色になるようにして練習しました。
バンダの人数が多いので、円形の中心に副指揮者の方が
いらっしゃいますね。

王様が登場する前の、貴族たちがそぞろ歩いている場面でバンダが
演奏したのですが、オーケストラピットからの音とは違うとても
立体的な音響になり、素晴らしい演出効果でした!!

 

そして次は楽器の存在が天然記念物レベルの、
ベルリオーズ「幻想交響曲」で使用する鐘!!

「ド」と「ソ」の音程がある大きな鐘です。
鐘の直径、30~40㎝はあるでしょうか。
この大きさのとおり、かなり低く大きく響く鐘です。
ホール内の空気を一変させる影響力があります!!

恋人を殺してしまった主人公が処刑され、その「弔鐘」を
表す音として舞台袖の中から打楽器奏者が叩きます。

現在、プロオーケストラは国内の3か所からこの楽器を借りています。
すなわち!
「幻想交響曲」は国内での同じ日に、最大でも3公演でしか演奏できないと
いうことです!!

日本のプロオーケストラが、この鐘の取り合いで取っ組み合いの 喧嘩に
なったことは幸いながらまだ無いようです。

 

そしてレベルCのバンダ。

関西フィルでも、これまで数多くの“バンダ”入り楽曲を演奏
してきましたが、 これは初めて!!

ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」でしか使われない、
世界で数台しかないホルツ・トランペット(木製トランペット)です。

(C)s.yamamoto     ホルツ・トランペット:白水 大介

楽器のバランス取るのが難しそうですね~。

 

オルガン前、右上でスポットライトが当たっている場所で演奏しています。

(C)s.yamamoto 

イゾルデが乗っている船の到着を知らせる音として演奏されます。
プロ奏者でも初めて吹く楽器だったので、とても難しかったそうです。

さすがに珍しい楽器だったので、当時のブログで詳しく
説明していましたー。

2016年のブログ記事

 

バンダで使われる頻度の高いトランペット、バンダ演奏の経験も多い
白水大介にバンダについて聞きました♪

 

―バンダで楽器を吹くときに意識していることは?

舞台裏で演奏するバンダは、客席では少し音程が低く聴こえ気味に
なるので、 明るめの音色を意識して吹いています。
お客様の顔が見えない場所での演奏なので、逆にリラックスして
吹けているかもしれません。
花道や客席スペースでのバンダの場合、時差のせいで遅れて
聴こえないよう、 ほんの少し早いタイミングで吹いているのですが、
逆に私の演奏場所に近いお客様には
「この人吹くタイミングが早くない?」と思われていないか
若干気になります(笑)。

 

―バンダ演奏でのエピソードを。

「ローマの松」で、一度舞台上から舞台袖のバンダ演奏に移り、
その後また舞台上に戻った演奏会の後、
観に来てくれていた両親から
「どうしたん?お腹痛かったの?」(トイレ行ったのか?)と
真顔で言われたこと。

 

―バンダで吹く時の醍醐味は?

プレッシャーもあるけど重要な見せ所でもあると思います。
トランペットのバンダは何かの到着を表現することも多く、
”救世主の到着”という設定の時には「今日の演奏会を救うぞ!」
ぐらいの意気込みで演奏しています!
応援よろしくお願いします!

 

バンダ演奏がある時は、練習日から当日のリハーサルまでと、
音量・音色・演奏場所(舞台からの距離)と、かなり細かい
調整を繰り返します。
演奏時間としては短いことが多いのですが、静かな中での
ソロ演奏が多いので、奏者のプレッシャーは計り知れません。。。

2回にわたるバンダの世界、感じて頂けたでしょうか?
バンダのある曲、ほかにもたくさんあります。
舞台以外にもぜひ注目してみてください!!

 

それでは、次の”5”が付く日にまたお会いしましょう♪♪♪