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  • 2020.7.22(水)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0722

     皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0722
    今回はヴィオラ奏者、田代直子からのメッセージをお届けします。
     

     関西フィルを応援してくださるみなさま、いつも本当にありがとうございます。2020年は東京オリンピックの年、関フィル50周年記念の年…。
    「華やかな忘れえない年になる」と、お正月にわくわくと考えていたのはつい最近のようで、かなり前のようで…。

     音楽業界には2月半ばから影響が及び始めたコロナ禍によって、
    お正月に思い描いたものとは程遠い形で記憶に残る2020年の日々が過ぎています。オリンピックは延期に、50周年記念はもちろん、他にも沢山の楽しみにしていたコンサートも延期・中止となり、演奏活動の出来ない寂しい時間が過ぎていきました。けれど、そんな時間が教えてくれた沢山の事もあります。

     家族といる時間が増えて、その有難味を感じたり、基礎練習やソロのレパートリーをさらう時間が増えて、久しぶりに自分の音とゆっくり向き合ったり…なかなか最近は出来ていなかった読書、庭の草引きなども楽しんでいました。草引きは、ちょうど活動自粛がスタートしたのが草木が栄え始める時期だったので、綺麗にしたと思って振り返ると、もう新たに生えている…というかんじで、自然界と根比べをしている気分になりますが、雑草の生命力は凄いな、と妙に感心してみたり…

     そんな中で、庭に沢山のブライダルベールの花が咲いているのを見付けました。母に聞くと、以前ダメになったと思って鉢を土ごと庭に捨てた辺りだとか…。雑草の生命力はともかく、あんな繊細な花が、一度枯れてもこうやって野生として蘇って、綺麗な花を咲かせて魅せてくれるんだな、と心に何かジンと来るものを感じました。

     けれど、アンサンブルが出来ない時間に得たものもある代わり、どれだけ自分が誰かと音を合わすことを好きなのかも痛感しました。内声を、キザミを、周りの音を聴きながら弾きたい気持ちは日々どんどん強くなり、自粛明けに初めてアンサンブルが出来た時、そして6月の定期演奏会で舞台に出てお客様のお顔が見れた時のゾクっとした感覚は、生涯忘れないと思いますし、忘れたくありません。

     音楽は美しい、綺麗、楽しい、癒される…そんな言葉で表現される事が多いですが、そんな形容と同時に、その音楽を演奏する私たちの強い意志でもっても、私が庭のブライダルベールを見て感じたように、応援してくださるみなさまに生命力あるエネルギーをお届け出来るようでありたいな、と思います。

     まだまだ不安な状況が続きますが、新しい環境とうまく共存しながら、
    より多くの方々とコンサート会場で元気に笑顔でお会い出来る日を心待ちにしております。
    今後とも関西フィルをよろしくお願いいたします。

    ヴィオラ奏者 田代 直子


  • 2020.7.15(水)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.0715

    みなさまこんにちは

    関西フィル50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0715、
    今回は“つれづれシリーズ”として、元数学教師の事務局スタッフの
    文章です。

    ここまで理路整然と書いてみると、「おぉ…、なかなか…」と
    音楽が手強い物に感じられますが
    きっと、難しい数式でも表現できる緻密で正確な物なのでしょうね、
    普段はほとんど意識していませんが。

    でもまぁ、音楽は素晴らしく楽しいものであることに変わりは
    ありません
    気楽な気持ちでお読みください!!

     

     

     

    数学と音楽とは密接な関係があるという話をご存じですか。
    その関係について、改めて、調べてみました。

     「ドレミファソラシド」という音階を最初に発明したのは、
    「三平方の定理」でも有名な古代ギリシアの数学者、
    ピタゴラス(紀元前582年~紀元前496)です。

    カピトリーノ美術館(ローマ)のピタゴラス像 

    ある日、彼は、鍛冶屋の前を通りかかったときに、
    職人がハンマーを打ち下ろす「カーン、カーン」という音の中に
    きれいに響き合う音とそうでないものがあることに気づきました。
    これを不思議に思った彼は、鍛冶屋の職人のもとを訪れ、
    いろいろな種類のハンマーを手に取って調べ、きれいに響き合う
    ハンマーどうしはそれぞれの重さの間に、2:1や2:3といった
    単純な整数比が成立することを発見します。

     人が美しいと感じる響きの中に、単純な整数比が潜んで
    いるという意外性に惹かれた彼は、その後、高さの違う響き
    について研究しました。

    まず、彼はモノコード(下図)という楽器を発明しました。

     

    モノコードというのは共鳴箱の上に弦を一本張って、駒(こま)を
    移動させることによって、振動する弦の長さを変えられる装置のことです。

    このようなモノコードを2つ用意し、片方のモノコード(モノコードA)の
    弦の長さは固定しておき、これを基準とし、
    もう一方のモノコード(モノコードB)は駒を動かすことで
    弦の長さを短くしていきます。

    そうして2つの弦を同時に弾き、きれいに響き合う位置を探し始めました。
    すると、モノコードBの弦の長さがモノコードAの半分になったとき、
    高さの違う2つの音が重なり合うことが分かりました。
    (オクターブです!)

    彼はこの発見により、弦をいろいろな長さにして、相性のいい音色を
    探そうとしました。
    例えば、モノコードBの弦の長さを3分の2にしたときの音色は、
    モノコードAの音色と非常に相性が良く、美しく聞こえました。

    このようにしてピタゴラスは、弦の長さを調節することで、
    1オクターブの中に、相性よく聞こえる複数の音を発見したようです。

    「万物は数なり」
    宇宙のすべては、数の法則に従い、数字と計算によって解明できるという
    彼の思いが、現在の音階の基礎を作り上げたのではないでしょうか。

    もし、ピタゴラスが存在していなかったならば、現在のような音階が
    存在していなかったかもしれませんね。

     

     

     

    現在、この時ピタゴラスが発見した「相性の良い音」の組み合わせに
    ついては、無限に広がっているように思います
    バロック・古典の音楽から、近現代の作曲家の音楽まで、
    音の組み合わせによって生まれる響きの種類の多いこと
    昔の人に比べて、これらを全部楽しめる現代の私達は幸せです♪♪
    そして今後の、「音楽」の有り方の変化が楽しみですね~。

    それではまた「5」の付く日にお会いしましょう!!

     


  • 2020.7.13(月)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0713

     皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0713
    今回は第1ヴァイオリン奏者、松本リカからのメッセージをお届けします。

     いつも関西フィルを応援頂き有難うございます。
    楽団創立50周年を迎えることが出来、これ迄に関わって下さった全ての方のご尽力、ご支援に心より感謝申し上げたいと思います。 

     記念すべき年となりましたが、パンデミックとなった新型肺炎、先の見えない不安に覆われ世界中の人が今、自分に何が出来るのか、何をしたら良いのか模索しています。

     大学卒業後オーケストラの魅力に惹かれて入団しました。
    オーケストラは世界で最も大きい楽器と言われるように、多彩な楽器を使って描かれた楽曲の力は息を呑む様な繊細な音から、まさにダイナミックな表現まで圧倒されるものです。音楽は常に人間と共にあり、その祈り、心を伝えます。
    関西
    フィルも音楽を愛するメンバーと共にその本質を伝える楽団として
    成長してきたと思います。

     初めて生の演奏に触れる方、長年支えて頂いている方々に安心して
    コンサートホールに来て頂けることの大切さを、今このような活動自粛が続く状況となり改めて実感しているところです。

     アフターコロナは今とは異なる世界になると云われています。
    関西フィルは未来に向かって進みます。最初は小さな編成からになりますが
    50周年記念事業を携えて動き始めています。どうぞ変わらぬご支援をお願い致します。

     会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしています。
    皆様、どうぞご自愛下さい。

    第1ヴァイオリン奏者 松本 リカ


  • 2020.7.5(日)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.0705

    みなさまこんにちは!

    関西フィル50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0705です。

    今回は“横顔シリーズ”として、「徳岡写真館」を
    お届けしたいと思います

    第一ヴァイオリン奏者の徳岡裕紀は、普段からよくカメラを
    持ち歩き、写真を撮っています。
    2015年のヨーロッパ公演の時にも資料作成のために、
    「徳岡さん!〇〇〇の写真撮っていませんか??」と
    写真を提供してもらっていました…。
    “横顔シリーズ”「徳岡写真館」、何回かに分けて徳岡の写真を
    ご紹介します♪♪

    徳岡に、カメラとの馴れ初めを尋ねてみたところ…

      子供の頃からカメラに限らずラジオや無線機、車など、
       機械には
    とても興味がありましたが、改めてそのきっかけが
       何だったのかは・・・
    よくわかりません。
      でも、小さな筐体にボタンやレバーや目盛りやレンズが
       ぎっしり
    収まっているのを見ると今でもワクワクします。 

    とのこと。
    徳岡少年、写真ではなくて“カメラ”自体が魅力的だったのですね。

     現在、デジタルカメラ2台と交換レンズを数本所有していて、
    普段はその中から最軽量の組み合わせを持ち歩いているとのこと。

     第一回目の今回は、まだまだ梅雨が明けない日々なので、
    清々しい気分になっていただける写真をご紹介致します~

     

    梅雨の季節の清々しい物として外せないのは紫陽花ですね。

    はっとするほど鮮やかなブルー!

    ふんわりした気持ちになるピンクの紫陽花も。
    土の状態で色が変わる紫陽花、雨の日も明るい気持ちになれますよね!

    紫陽花の花言葉の中には、「家族愛」「家族団らん」という言葉が
    あるそうです。
    まさにこの季節のステイホーム・フラワー

    そして雨と言えばカエル。雨とカエルはセットです

    カエルが鎮座している場所が、
    大砲の砲身の上なのか、チャッカマンなのかによって
    カエルの大きさがかなり変わってきますよね~。
    (正解は徳岡の車のアンテナ。丹波市だそうです。)

    カエルが何をつぶやいているのか、想像してみましょう。

     

    「やっべっ!行き止まりやん。。」

    「マスクしていないから絶対しゃべりませんよ、私は。」

    「下りるのめんどくさくなってきたな~」

    「この形状はトンボがとまるはずやねん。」

     

    カメラマンからは
    「“雨あめ降れふれもっと降れ”やろ。」
    と素直な回答が。

     

    次はマイナスイオンたっぷりの1枚
    熊本県南阿蘇村の有名な湧き水、白川の水源とのことです。

    少しシャッタースピードを遅くする(1.3秒)、という手法で
    このニュアンスになるそうです。

    水音が聴こえてきますね~。
    体感温度も下がってきました!

    お次は季節の食べ物
    宮崎県延岡市のマンゴーパフェ。
    夏の色、夏の香りです!!

    ぱっと見、すぐにパフェだとわかりませんよね。

    太陽の塔的な、
    エミール・ガレのガラスのオブジェ的な、
    ガウディの建築物的な、
    何かに見えませんか??

    暗闇の中に浮かび上がる、ワイルドながら妖艶なマンゴーパフェ
    なかなかの迫力です!

     

    最後は、熊本県宇城市で撮影された写真をご紹介します。

    コロナ禍でガラッと日常が変わってしまい、来月、どのような世の中に
    なっているのか正直わかりませんね。
    そんな中にもきっとひとかけらの希望はあるはず、と前向きに
    過ごしていきたいものです
    そんな想いを込めてこの写真をご紹介します。
    美しい夕日の次の日は晴れ

     

    徳岡カメラマン、当たり前ですがオケの中ではヴァイオリンを
    しっかり弾いています。

    コンサートマスター、岩谷の左に座っているのが徳岡裕紀です!
    応援よろしくお願いします

     

    “横顔シリーズ”「徳岡写真館」、次回をお楽しみに!

    ではまた“5”の付く日に

     


  • 2020.7.2(木)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0702

     皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0702
    今回は、特別契約Vc首席奏者、向井航からのメッセージをお届けします。

     「よく弾いた平成時代の、最後の本番が昨日の関西フィル第300回定期演奏会だった。良い演奏会になって、良かった。
    関フィルに入ってすぐの頃に第200回定期があって、200回かぁ、
    長い歴史があるんだな、と思った。
    200〜300の歴史に関わってきたんだと思うと、感慨深い。」

     2020年、関西フィルハーモニー管弦楽団は創立50周年を迎えた。
    「人生は退屈すれば長く、充実すれば短い」というシラーの言葉があるように、「長い」ということが無条件で尊いとされるわけではないが、
    楽団創立当時からの先輩達は
    「良い時も悪い時もあったけど、乗り越えてきた。これからはお前たちの時代だ」と言って下さる。その言葉は、音楽をより多くの人に届ける貢献を今後も継続し、発展していくことを期待して下さっているのだと、私は理解している。

     2007年、当時は最年少で27歳の時に関西フィルの首席チェロ奏者に就任した私は、今年で40歳になる。
     オーケストラ奏者になってからの13年間という時間は、
    長いような気もするし短いような気もするが、楽団の50年という歴史は、
    生きてる時間が40年弱の私からすると、尊敬の念を抱く長さだ。

     関西フィルに入るまでの私は、クラシックの分野以外にスタジオミュージシャンとしても仕事をしていた。ハンガリーに留学した後、藝大に復学した時からチェリストとして演奏の仕事をするようになった私は、多くの素晴らしい先輩や友人に恵まれ、運良くその世界での仕事の機会を得た。
    自分でもバンドを組んでデビューしたこともあって、
    当時は国内外のロックアーティスト、J-popや演歌、映画のための音楽、
    テレビドラマやCMのための、いわゆる劇伴音楽をレコーディングスタジオで録音する仕事で、都内のスタジオを毎日駆け回っていた。

     Liveやテレビ出演するアーティストの後ろでも演奏し、弱冠20歳そこそこの私が、著名なミュージシャンやアーティストの皆さまと行動を共にさせて頂き、自分も、自分が演奏する音楽で多くの人を幸せにしていると勘違い出来るほど、華々しい世界を沢山見せて頂いた。 

     しかし、新興の音楽のクリエイティブな魅力が大好きでありながらも、
    チェロというクラシック音楽を起源とする楽器を演奏する以上、
    一度はオーケストラに所属して、スケールも歴史も壮大な交響曲やオペラを
    演奏することが、何にも代え難い夢の一つだとも感じていた。

     一般的に「クラシック音楽」と言われるものは、グレゴリオ聖歌を含まないとしても16世紀から、400年以上の歴史があると言える。
    クラシック音楽で使われる楽器の種類は多種多様で、オーケストラでは
    その代表的なものを集めて構成され、演奏されている。

     チェロという楽器も300年以上の歴史があり、かつては
    Basso continuo(通奏低音)として主にリズムとベースラインという役割が
    多かったのだが、古典以降は、立ち位置を低声部に置きながらも
    次第に編成の大型化や楽器の改造も加わり、内声、対旋律、主旋律も演奏するオールマイティな楽器に進化していった。
    チェロ を必要とする曲、チェロの為に書かれた曲がとても沢山存在するので、日々探求、研究していても未だにその魅力と奥深さは計り知れない。

     その300年の歴史の中で、多くのチェロが製作されているので、現在では様々な年代の楽器が使用されている。私の楽器は1928年、イタリアのトリノで製作されたものだそうで、引き算が間違っていなければ今年92歳になる。もちろん0〜300歳以上のものが存在するので、比較的に若いものと言えるかも知れない。
     しかし、チェロをつくる為に使われる木は、少なくとも樹齢100〜200年以上だそうで、つまりこの楽器に使われている木が地球上に生まれてから
    およそ200〜300年以上経つということになる。

     そんなチェロを自分が練習で弾いているときに、なんでうまく弾けないんだ…という局面に幾度となく遭遇する。そういう時はいつも、自分より圧倒的に長い年月を知っている「楽器」に、その答えを教えてもらう事にしている。
    それは即ち、うまく弾けないのは自分なのであって、うまく弾きさえすれば、楽器は素晴らしい音で音楽を奏でてくれる。
     地球に根をはった大木になるまでの長い年月に見てきたもの、感じてきた事、知っている事、楽器となってからの92年間にも、きっと何人もの素晴らしいチェリストが弾いてきたことだろう。何度も素晴らしい音楽家、楽器達とアンサンブルをしてきたことだろう。だから楽器は良い音も、良い弾き方も、良い音楽も全て知っていて、うまく弾けた!と自分で思えた時、楽器が素晴らしい音で歌ってくれた時、
    「そう、その弾き方なら、こんな音が出るよ。」と、教えてくれるのだ。
    そして楽器のこの先の100年の為にも、私が使っている時代に悪い音に
    するわけにはいかないので、少しでもより良い音が出るような弾き方を
    銘肝して弾いている。

     オーケストラも、楽器と似た性質がある。
    良い時間を過ごせば良い音に、まあまあな時間であればまあまあな音になると思うし、進む方向も、その寿命も、関わる人によって大きく変わってくると思う。

     次々と勉強して弾き続けた13年間は、あっという間の短い時間だった気もするが、私が関わった時間もオーケストラにとって少しでも、良い時間であったのだろうかと、自問出来る程度には、長くやってきた気もする。

     50年という時間、多くの音楽家と関わってきたこのオーケストラは、
    少しでも良い音で鳴るためにはどうしたら良いのか、
    低声部の位置から模索を続ける私に、これからもきっと、
    たくさんの事を教えてくれる。

     

     現在、新型コロナウィルスの影響で公演中止があいつぎ、
    音楽業界全体が未曾有の危機に直面しています。
    もうコンサートホールでオーケストラという形態の演奏会をしていくことは
    無理なのではないか、と悲観的に思わざるを得ないような状況が続きますが、多くの応援メッセージや寄付を頂き、深く感謝申し上げます。

     山登りをする人にとって、どの山もそれぞれの魅力やおもしろさがあるそうです。
    関西フィルは数ある山の一つとして、これまでの50年に敬意を払いつつ、これからの50年も、歴史ある「音楽」を多くの人と共有する役割を担う団体で
    あり続けたいと思っています。

    特別契約Vc首席奏者 向井 航