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  • 2020.8.20(木)
    関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    クラウドファンディングを始めました/「ONE KANSAI」で関西フィル応援プロジェクト

     関西フィルハーモニー管弦楽団は、202012月に創立50年を迎えます。20204月より様々な記念事業を実施する予定でした。

     しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響で次々と演奏会が中止となり、関西フィルは大きな経済的打撃を受け、運営が困難な状況になっています。今までに多くの方々より心温まるご寄附をいただいておりますこと、心より感謝申し上げます。

     ただ、楽団が今後も存続していくためにはまだまだ活動資金が不足しております。そこで関西フィルの首席指揮者藤岡幸夫氏が発起人となり、関西にご縁のある方々、企業の皆様のご協力を得て、クラウドファンディングを立ち上げました。
    クラウドファンディング立ち上げに伴い、記者発表会をさせていただきました。発起人の藤岡幸夫氏、ご協力いただきました掛布雅之氏、辰巳琢郎氏のお言葉を紹介させていただきます。

     

    藤岡幸夫氏お言葉

    「関西フィルと活動して21年になり、楽団と私の関係はどのオーケストラよりも濃密だと自負しております。これまでダイキン工業さま、サントリーさまをはじめ多くの企業にご支援いただいて活動してきました。
     コロナ禍で大打撃を受けましたが、この状況でなければできないことをやろうとクラウドファンディングを立ち上げました。
     掛布雅之さんはオーケストラ大変お好きで、掛布さんが音楽を好きなことをみなさまに知ってもらいたいとも思い、ご協力をお願いしました。
     辰巳琢郎さんはとても気さくな方でクラシックにも造詣が深いです。
     お二人には心から感謝申し上げます。」

    掛布雅之氏お言葉

    「関西フィルの公演を初めて聴いたとき、いろいろな楽器の音が一つになり私の身体全体に響き、クラシックは耳でなく身体全体で聴くものだと思いました。まるで『掛布コール』を聞いているような激しい音を関西フィルから感じました。
     一軍から二軍に降格した選手に“野球をやる上で、心の笑顔を最後まで持ち続けないと自分の野球は終わってしまう”と伝えていましたが、心の笑顔を忘れないためにも関西フィルの音は絶対に必要だと思います。関西フィルのために皆さま、ご協力よろしくお願いいたします。」

    辰巳琢郎氏お言葉

    「関西をいかに盛り上げるかはずっと考えていたことでした。コロナ禍の中で芸術・文化という人間の活動がどれほど大事でなくてはならないものだと、改めて感じました。この状況で人間は何を糧にして生きられるのか、それは自粛生活を通して、リモートより生のつながりが最も大事だということです。
     藤岡さんという素晴らしい方がいて、関西フィルをもっと知ってほしい、公演ももっと開催してほしいと思っています。関西フィルは非常に可能性を持った楽団です。だからこそ、関西フィルがもっともっとクラシック界を引っ張っていってほしい、いろんな発信をしてほしいです。そういう気持ちを込めて協力させていただきました。今回、声をかけていただいて嬉しく思っています。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。」

     



  • 2020.7.27(月)
    公演情報 関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    オープン1周年を迎える東大阪市文化創造館でコンサートを開催します/渡辺館長へのインタビュー

     20199月にオープンした東大阪市文化創造館
    オープンしてもうすぐ1周年を迎えられます。
     オープン前に館長、渡辺昌明さんにインタビューをさせていただいたときに「文化創造館を市民の活力になる場所にしたい」と語っておられたことが印象的でした。しかし、オープンして約7ヶ月後に、新型コロナウイルスの影響で催物が中止・延期になり、4月から2ヶ月間休館されていました。

     改めて、渡辺館長の湧き出てくる想いをどうぞ。

    「初めに、文化創造館建設の計画時から多くの方が関わってくださって、無事に1周年を迎えられることを感謝いたします。オープンして2月までは催物も好評で順調に進んできました。3月以降にコロナウイルスの影響が出始めましたが、今は収束後のことを次々と考えています。人類は英知を持っていますから、いつかは反転攻勢する時期がきますので、その時のために企画・準備を進めています。

     ホールのパフォーマンスを発揮するために、以前からの構想である市民オペラ、市民合唱団の募集を始める予定です。コロナが落ち着いてから準備を始めていては遅すぎます。また、オープン前から考えていた、東大阪市在住の小学生には必ず、卒業するまでにホールでクラシックを聴いて大人になってもらいたいと思っていますので、アフターコロナに向けて考えていきたいと思っています。」

     

    「文化創造館は公立の施設なので、市民に文化・芸術の力で元気になってもらいたいという想いもありますが、アーティストを応援していく役割も我々が担っていくことも大切だと思います。今の状況の中であっても、あたえられた条件の中でパフォーマンスを発揮できる場所を提供することも役割だと思います。

     文化創造館で藤岡幸夫さん(関西フィル首席指揮者)に指揮していただきたい曲も数えきれないほどあります。ブラームス交響曲第1番、私の好きなチャイコフスキー、シベリウス…。藤岡さんがどのように演奏するのかも興味があります。そういう想像をするのも楽しいですよね。文化創造館を気に入ってくださったようですので、おそらく指揮されたい曲はたくさんあるんじゃないでしょうか。

     文化・芸術を広めたい、クラシック音楽の裾野を広げたい、この気持ちはずっと持ち続けているので、先日に「クラシック音楽入門講座」を私が講師として開催しました。作曲家のちょっとしたエピソードなど、クラシックに親しみを持っていただけるようなことを中心に話しています。今の状況の中でも申し込みは1週間ほどで定員に達したので、求められている企画だったんだなと。皆さまはきっと音楽に飢えていたんではないでしょうか。
     
     8月1()夏の金管クインテットwith Percussion!公演で、演奏する時の息づかい、金属の振動を感じてください。これこそ、生で聴く醍醐味ですよね。クラシック音楽は『生』に限ります。スマホ・パソコンでは感じられない臨場感を身体で感じていただきたいです。
     
     9月6()には関西フィル演奏で再開館後初のフルオーケストラ・コンサートを開催します。『運命(ベートーヴェン:交響曲第5)』をお聴きいただきますが、まさに今の状況を表していますよね。第1楽章の冒頭のように『ダダダーン』とコロナが世界中の扉を叩いて、パンデミックが起こりました。しかし、いつまでも人間がコロナに負け続けるとは思いません。4楽章のように困難に打ち勝つんだと意思表示して勝利に向かって、この状況を打破すると。ベートーヴェンイヤーの年でもありますので、皆様を文化創造館でお待ちしております。」

     

    関西フィル 夏の金管クインテット with Percussion(パーカッション)!
    金管五重奏のあますところのない魅力と金管五重奏には滅多にない打楽器も入った編成で、エンターテインメントとして舞台の生鑑賞の素晴らしさを体感していただきます!

    チケット:販売中(※1回目公演チケット残り僅か※)
    日時:2020年8月1日(土)
    ①14:00開演(13:00開場)②17:00開演(16:00開場)
    会場:東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
    プログラム:
    ・モーツァルト:「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より
    ・バーンスタイン:ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」組曲より
    ・フレディ・マーキュリー:「ボヘミアン・ラプソディ」 ほか
    ※公演内容は変更する場合がございます。予めご了承ください。

    ⇑チラシクリックで拡大します

     

    東大阪市文化創造館1周年記念
    関西フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会

    チケット: 82日(日) 10:00販売開始
    日時:2020年9月6日(日)15:00開演(14:00開場)
    会場:東大阪市文化創造館Dream House 大ホール
    出演
    指 揮:藤岡 幸夫
    ピアノ:太田 糸音
    プログラム:
    ・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調作品73「皇帝」
    ・ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調作品67「運命」
    ※公演内容は変更する場合がございます。予めご了承ください。
     

    ・東大阪市文化創造館チケットセンター(電話予約)
     TEL:0570-08-1515
      営業時間(平日11:00~15:00/土日祝10:00~15:00)

    東大阪市文化創造館オンラインチケット
     (https://higashiosaka.hall-info.jp/)

     


  • 2020.6.29(月)
    公演情報 関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    7月7日(火)に初ライブ配信します! ㈱安井建築設計事務所佐野社長へのインタビュー
     草創期より当楽団をご支援いただいております
    株式会社安井建築設計事務所様に本社1階ロビーをご提供いただき、
    7月7日(火)18時30分から七夕コンサート(弦楽四重奏)を
    初ライブ配信します。
    コンサートを企画してくださった株式会社安井建築設計事務所、
    代表取締役社長、佐野吉彦様にインタビューさせていただきました。 

    コンサートを企画された趣旨・目的をお教えください。

     私は関西フィルのファンで一日も早く演奏を聴きたいと思っていました。
    4・5月ごろ、本来の演奏会を開催するのが難しい状態だったとき、
    「オンライン」という新しいカタチがあってもいいのではないかと
    考えました。
    コンサート会場ではなく、違った場所からオンラインでコンサートを
    配信するのも新しいですよね。音楽のやり方を試すにはいいチャンスで、
    プラス面が発見できるかもしれません。
     世界に向けて関西フィルの音楽が飛びだしていくのが、
    しかも私たちの会社のロビーからというのは
    大変素敵なことだと思っています。 

    プログラムの感想をお聞かせください。

     後半のプログラムが、音楽は世の中に必要だけれども、
    協力者がいないと成り立たないと訴えていた作曲家で
    固めているのは面白い。
    今のコンサートを開催する状況に似ていますね。
    そういう意味では弦楽四重奏でこんなにチャレンジングなプログラムを
    作っていただいて、嬉しいです。

    ♫プログラム
    ♪前半                         

    ・ドビュッシー:『小組曲』より第4曲“バレエ”       
    ・ハイドン:弦楽四重奏曲第67番『ひばり』より第1楽章    
    ・ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番『悲愴』より第2楽章    
    ・J.シュトラウス2世:常動曲              
    ♫後半
    ・ポルカ「金曜日」~ソロコフ~グラズノフ~リャードフ~による共作 
    ・『B-la-fの主題による弦楽四重奏曲』より第3楽章 第4楽章

     それなら、このプログラムの性格を表すために
    「この曲が時代を変えた~弦楽四重奏でたどる音楽史~」という
    キャッチコピーはどうでしょう、と提案しました。
    実際の演奏がきっかけで元気になるだけでなく、クラシックは時代を
    引っ張る力がある、面白い存在だと感じてもらえたら楽しいなと。

    文化やクラシックに対する思いをお聞かせください。

     もともと両親が音楽好きで、幼少のころから影響を受けています。
    高校1年生のとき、1970年開催、大阪万博の鉄鋼館で、
    まだ若かった武満徹さんなどの個性的な現代音楽を連日聴く機会があり、
    音楽の拡がりみたいなものを実感しました。
    だからなのか、ちょっとひねくれた音楽の聴き方が自分の中に
    発生したかもしれません。

     アマチュアではありますが、自分で演奏したり、コンサートの企画・運営も
    経験してきたりしたので、音楽の面白い聴かせ方があるのではないかと、
    いつも考えています。大真面目に新しいことにチャレンジするのが、
    これからの芸術に大事ではないかと言う気がしています。

     それで、今回のプログラムは名曲コンサートではなく
    マニアックでも大丈夫ですよ、とコンサート担当の方に伝えました。
    新しい曲と出会ったり、普段違うイメージで聴いていた作曲家を
    再発見したりするのはすごく楽しいですよね。
    コンサートも非常に楽しみです。



    ※写真クリックで拡大します※ 

     音楽は抽象芸術、建築は具体芸術なので単純に
    比較することはできませんが、例えば、ブラームスの曲は、
    ヴァイオリンのメロディーにチェロが対比するカタチで
    違うメロディーが重なり、デリケートなハーモニーとバランスが
    取れていますよね。
    一方でシューマンみたいに、いい意味でバランスの悪い感じも魅力です。
    全体を見たら平凡でも、別のところで凄みが潜んでいたり、
    作曲家によってポイントが違うのが面白いと思います。
     つまり、曲におけるバランスや構成が、
    インスピレーションになっています。
    建築も同じでデザインも構造も環境技術もあり、
    色々なことがバランスよく成り立っていないと
    いい建築にはなりませんから。

    オンライン・コンサートをご視聴くださる方に
    メッセージをお願いいたします。

     夏の始まりに、関西フィルのちょっと新しい響きを楽しみませんか。
    七夕の夜は、ホールではなくご自宅でお楽しみいただける
    オンラインコンサート。
    弦楽四重奏とともに、平和な未来の夢を描きながら、
    健やかに過ごす夕べとなりますように。



    ※バナークリックでコンサート概要をご覧いただけます※

    配信時間:約1時間を予定
         ※変更になる場合がありますのであらかじめご了承ください。
         ※生配信終了後、アーカイブ配信いたします。

    配信URL:https://youtu.be/i6QW2yd4yvk


  • 2019.8.12(月)
    公演情報 関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    2020年で開館25周年!関西フィルと20年のお付き合い/文化パルク城陽

     2020年に開館25周年を迎えられる、京都府城陽市にある文化パルク城陽(近鉄寺田駅より徒歩5分)。

     関西フィルはニューイヤーコンサート、城陽定期演奏会、第九演奏会に
    出演させていただいており、お付き合いは20年になります。
    開館当初から長年に渡ってご勤務されている中尾浩二さんと公演ご担当の西田陽子さんにインタビューをさせていただきました。中尾さんはとても楽しそうに、西田さんは眼をキラキラさせながら、関西フィル首席指揮者:藤岡幸夫さんについてお話しくださったことが印象的でした

     今回は藤岡さんについてお伺いしたことをピックアップします。

     

    【きっかけ】
     「1999年からニューイヤーコンサートを始めました。
    そのお客さまアンケートに『関西フィルを呼んでほしい』との
    ご要望があり、藤岡さんと関西フィルに依頼させていただいたのが
    きっかけです。指揮は1回目から藤岡さんで、藤岡さんの「城陽市にクラシックを根付かせないといけない」という熱い想いに共感し、毎年、ニューイヤーコンサートを開催するようになりました。
    その後、第九演奏会、8月の城陽定期演奏会と続いています。
     ニューイヤーコンサートが20年も続いているのは、藤岡さんの
    『ウェルカム!!』という対応のお蔭です。
    例えば、コンサート前のロビーコンサートを藤岡さんは
    お客さんと一緒に聴かれていることもあり、本番前に指揮者がロビーに
    いることに驚かされました。また、演奏者に『(演奏が)すごくいいよ!!』、
    お客さまに『楽しんでいってね』と気軽に声を掛けられています。
    『指揮者』は遠い存在と思っていたので衝撃でした。
    城陽定期演奏会後のビアパーティーも、初めは藤岡さんとホール職員だけで
    開催していましたが、『お客さまも一緒に』という藤岡さんの提案で
    お客さまも一緒に開催するようになりました。
    この距離の近さがお客さまと職員に好かれています。」

     

    【藤岡語録】
     「藤岡さんと共に特に力を入れているのが、文化パルク城陽での公演を
    もっと若い世代にも知っていただくことです。
    城陽市にある高校の合唱部や吹奏楽部とのコラボレーションは、
    藤岡さんから直接、指導を受けられることやプロの演奏家と
    共演できることは、高校生にとってかけがえのない体験だと思います。
     また、藤岡さんとの関係は、私たちのモチベーションのアップにも
    繋がっていて、仕事にも良い影響を与えてくれています。
    私たちが『藤岡語録』と呼んでいる
    藤岡さんの言葉は、実生活や仕事にも通じるところがあります。
    例えば、藤岡さんは、よく『愛』という言葉を使われます。
    『お互い愛し合わないといけない』、『愛が足りないんだよ』
    これらは、お互いを思いやる気持ちを持たないといけないという意味だと思いますが、つまずいたときやコミュニケーションが上手くいっていないと
    感じるときは思い出すようにしています。
    藤岡さんが『愛』に溢れた人だからこそ出てくる言葉であって、
    こんなにも心に響くんだなぁと。」

    【宝物】
     「藤岡さん、関西フィルの皆さまのおかげで20年も
    公演を続けてこられました。文化パルク城陽での公演は、私たちにとっての宝物です。是非、文化パルク城陽に、両者の見事なマッチングを聴きに来てください。」

    公演情報

    8月25日(日)第9回城陽定期演奏会

     


     

    12月22日(日)第九フェスティバル

     

     

    2020年1月13日(月・祝)ニューイヤーコンサート
    日時: 2020年1月13日(月・祝)
    指揮:藤岡幸夫
    ※8月25日(日)城陽定期演奏会終演後、2020年1月13日(月・祝)ニューイヤーコンサートのチケットを文化パルク城陽ロビーにて先行販売されます。
    お問合せ先: 0774-55-1010


  • 2019.7.20(土)
    関西フィルNews 事務局からのお知らせ
    「ソフィット」とは?「三次元のビリヤード」とは?/永田音響設計、小口恵司さんへのインタビュー

     2019年9月1日(日)にオープンする東大阪市文化創造館。
     東大阪市文化創造館開設準備室の畑中室長、
    佐藤総合計画関西オフィスの竹馬聡さんに続いて、
    音響に携わられた永田音響設計の小口恵司さんに
    インタビューさせていただきました
    キーワードは「ソフィット」と「三次元のビリヤード」です。

     小口さん「文化創造館の大ホールは、舞台と客席がなめらかに繋がるように
    音響反射板と客席の形を整え、舞台上の音が客席でもよく響くように、
    壁から突き出たサイドバルコニー席を設置しました。
    こうすることで、音がバルコニー下の天井とその奥の壁で反射し、
    客席に響くようになります。
     また、舞台上の奏者にも音がよく聴こえるようにするためには、
    舞台にもサイドバルコニー席的な要素を組み込めれば良いのですが、
    大ホールの反射板は可動式なのでそれは難しく、
    代わりに反射板の厚みの中にサイドバルコニー席のような
    音響庇(ひさし)の役割を果たす要素を組み込んで、
    奏者にも反射音が豊富に届く工夫をしています。
    その要素をソフィットと呼びます。」

    【東大阪市版ソフィット】

    小口さん「天井が高いと豊かな響きになりますが、
    音の跳ね返りが遅くなり、奏者が演奏しにくくなってしまいます。
    そこで、天井に当たった音よりも早く音が奏者に返るようにするために
    『ソフィット』という、出っ張った部分を設置しました。
    客席からステージ上の壁を見ると、格子に見える部分があります。
    この格子の奥にソフィットが設けてあり、そこからの反射音が、
    天井からの反射音より早く奏者に返り、より演奏しやすくなります。」

     

    客席から見た東大阪市版ソフィットについて、説明してくださる小口さん

    ステージ上(音響反響板の側面)から見たソフィット
    格子の裏側は、壁の後ろに出っ張っています。

    【三次元のビリヤード】

    小口さん「音の響きの質」を決めるために、コンピューター上で
    シミュレーションをしています。このシミュレーションのことを
    『音の三次元のビリヤード』と呼んでいます。
     下の図は、黄色の丸から四方八方に1万個ほどの音の粒を飛ばし、
    その音の粒が天井や壁にあたり、反射して床に落ちるまでを表しています。
    赤色は1回、黄色は2回、緑色は3回反射して床に落ちたもので、
    赤・黄・緑が適度に分布されないと、音が響きすぎたり、
    響きが少なかったりします。
    反射音が適度に分布されるように何度もシュミレーションし、
    『音の響きの質』の検討を進めました。」

    左がステージ、右が客席(大ホールを上から見たシミュレーション図)

     小口さん「音のシミュレーションの観測時間は、舞台から直接音が届いた後
    わずか0.1秒です。この0.1秒より後に届いた反射音が続く時間を
    残響時間と言います。どの客席でも残響時間はほとんど変わりませんが、
    なぜ席によって演奏の印象が変わるのでしょうか。
    それは耳に届く音が、『どの方向から届いたのか』、
    『どのような反射を繰り返したのか』が違うからです。
    つまり、赤・黄・緑の分布の違いによるということです。」


    6月時点でのホールの進捗状況をご覧になった小口さんのご感想

    「完成間近で様々な音響性能を確認している期間に、
    インタビューいただく機会を得ました。特殊な信号を使って
    音響性能を確認していて、演奏を聴いた訳ではありませんが、
    濃密かつ繊細な響きになりそうでワクワクします。
    こけら落とし公演のプログラムであるマーラーの交響曲第1番『巨人』は
    好きな曲の一つなので、演奏を楽しみにしています。
    小ホールも豊かな響きですので、お楽しみいただけたらと思います。」

     
     昨年から東大阪市文化創造館開設準備室の畑中室長、
    佐藤総合計画関西オフィスの竹馬聡さんと
    文化創造館に関わってこられた方に
    インタビューさせていただきましたが、
    お伺いした様々な工夫の完成形を想像すると興奮してきます
    完成した姿を想像しながら、オープンを楽しみに待ちましょう
    東大阪市文化創造館HP⇒https://higashiosaka.hall-info.jp/index.html

    畑中室長インタビュー⇒https://kansaiphil.jp/information/9094/

    竹馬さんインタビュー⇒https://kansaiphil.jp/information/9874/