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  • 2020.10.25(日)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.1025

    皆様こんにちは。
    50周年記念ブログ~未来の関西フィルへ Op.1025です。

     先日、皆様に大変残念なご連絡、
    飯守さんの「ブルックナー・ツィクルス最終回」の延期を
    お知らせ致しました。
    楽しみにしてくださっていたお客様、申し訳ございません。

     1029日(木)は、大山平一郎さん指揮で
    ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版)を
    演奏させていただきます。

     皆様よくご存じの通り、大山さんは
    1979年からロサンジェルス・フィルハーモニックの首席ヴィオラ奏者を
    務めていらっしゃいました。

    ロサンジェルス・フィルでは、1978年から音楽監督に、
    カルロ・マリア・ジュリーニさんが就任されています。

     そうです、ブルックナー演奏の名匠、ジュリーニさんと
    ロサンジェルス・フィルでご一緒だったのです!!
    その頃のお話と、飯守泰次郎さんとの出会いについて、
    お忙しい中メッセージをお寄せいただきました。

     

    * * * * * * * * * *

    私が桐朋学園女子高等学校(共学)に入学した当時、
    飯守泰次郎さん、秋山和慶さん、黒岩英臣さん御三方が中心に、
    オーケストラの指揮を担当されていました。
    指揮台の横には齋藤秀雄先生が居られて、私達学生奏者は勿論の事、
    指揮者の方々も、先生の鋭い眼光と繊細な聴覚力から発せられるお言葉に、
    常に怖い思いを感じていたものです。

    その様な緊迫感が漂う中、
    飯守さんは恰もその雰囲気から抜け出そうとするような勢いと情熱で、
    表現豊かな大きな音楽造りを志しておられた記憶が強く残っています。
    そして、お人柄が優しかったです! 
    その後もお会いする時には、いろいろ心の籠った会話をさせて戴きました。

    【2009年、大山平一郎さん指揮の定期演奏会 フランク:交響曲ニ短調】

    ブルックナーの4番に関しては、幾つかの思い出が、、、
    1978年にジュリーニさんがロサンジェルス・フィルハーモニックの
    音楽監督に就任されたと同時に、空席だった首席ヴィオラ奏者探しが
    始まります。

    1979年のシーズンが終わった時に、ジュリーニさんから小声で
    「貴方が入団し、このシーズンが無事終わったので、
    これでブルックナーの4番を安心してプログラムする」
    と言われました。

    この曲の内容を察知していなかった私は、
    ブルックナー特有のヴィオラ声部に課せられる“刻み”の事を、
    ヴィオラ奏者でもあったマエストロからわざわざ御忠告を戴いた
    くらいに思っていたのですが、しばらく時間がたって、
    練習の為に楽譜の2楽章を開けると、、、この事かと!

    これは私個人の推測ですが、ブルックナーはマエストロにとって
    数少ないアイドル作曲家の一人だったのではないかと思います。 
    ブルックナーの音楽に対する探求心、そして音楽家としての生き様に
    尊敬の念を抱いておられたからです。 
    作曲家がその曲に書いた音を、深く読み取ることからしか得られない
    「曲の解釈」というものに自信を持てたときに、
    素晴らしい演奏への可能性がひらける、
    ということをマエストロから教わりました。

     

    * * * * * * * * * * *

    2009年以来となる大山さんとの共演、
    当楽団でブルックナーをお振りいただくのは初めてです。

    オーケストラ奏者の立場でも曲を知り尽くしていらっしゃる
    大山平一郎さん。
    「ブルックナー・ツィクルス最終回」に繋げる
    大山さんとの「ロマンティック」、どうぞご期待ください!!

    それではまた、“5”の付く日にお会いしましょう♪♪


  • 2020.10.15(木)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.1015

    皆様こんにちは!!

    50周年記念コラム、Op.1015です♪♪

    本日は“横顔シリーズ”として、セカンドヴァイオリン奏者、
    齊藤 清の“靴作り”をご紹介します。

    「靴作るって・・・?!どういうこと?」って思いましたが、
    ほんとに自宅で靴を制作していました!

    写真・文章共に本人が手がけました。
    じっくりご覧くださいませ!

     

    * * * * * * * * * * * * * *

    コロナウイルス感染流行のため、楽団は開店休業になり、
    数ヶ月もの間ぽっかりと時間が空いてしまった。
    毎日の基礎練習のメニューを増量しても限りがあり、
    ヘルマン・ヘッセや三島由紀夫を著作年代順に読もうとか、
    庭を掘り返して畑にしてみたり、奈良の古刹を自転車で
    手当たり次第めぐったりなど。
    この時間をいかに使おうかと考えた。

    子供の頃から物を作るのが好きで、手を動かすごとに
    目の前のものが様々に変化し、自分のイメージが
    具現化される過程が嬉しく、楽しかった。
    今も商売道具のヴァイオリンのメンテナンスを自分自身で行う。
    弓の毛替え、駒や魂柱の調整など、定期的に自宅で行っている。
    その延長だが、靴を作ってみようと思った。

    靴は実用品でもあり、愛でる物でもある。
    その点でヴァイオリンと似ている。
    ヨーロッパの職人が自分一人で全ての工程をこなし、
    商品であるとともに自分の作品として作る。
    特に、工業化が遅れたがゆえに手作りの伝統が残った
    イタリアの靴づくりに惹かれて、そのスタイルを研究し、
    実際に作ってみようと思った。

    実際、靴を作ることは自分の足のサイズの木型の入手から始まる。
    自分の足をメジャーで測り、その寸法に近そうな雰囲気の木型を買う。

    言うまでもないが、足には個性があり人によって違う。
    足型がぴったり私の足と同じサイズとは言い切れないので、
    なんとなく足の筋肉が膨らんだところに薄い皮を貼るとか、
    色々微調整を行なったが、結果的に何もしなくても足には合った。
    次に靴のデザインを決める。
    黒のチャッカーブーツ風に意匠を凝らした二つ穴のウイングチップ。
    木型から型紙を作るのがまた難しい。

    三次元のものを二次元に起こし、その型紙に沿って革を切り出し、
    ミシンで縫って木型にかぶせてつりこむのだが、
    あれ、なんで寸法が足らないのか、なんで靴紐が閉まらないのか等々、
    と迷宮に迷い込む。

    外から見えるところよりも、見えないところにどれだけの
    注意と愛情を注いでいるかが、ものの本質を決める。
    セカンドヴァイオリンのパートなど誰も聴いてはいないだろう
    などと思った時に、美しい響きは失われる。
    靴の裏革も非常に大事なところだ。
    直接体に触れるところだからだ。
    今回は豚皮のスウェードで作る。それをミシンで縫う。
    家庭用の普通のミシンで縫うには工夫がいる。とにかく難しい。
    それでも何度も失敗を繰り返すうちに慣れた。
    時間をかけた愚直な習熟こそが、物事を動かす。
    楽器の練習も同じようなもので、楽器を弾けるようになるための
    近道など無いのだ。

    靴づくりと一言で言っても、様々な製作上の技法がある。
    イタリアの代表的な技法としてマッケイ法があるが、
    4足目にハンドソーンウエルトという製作法も試した。
    中底に溝を掘り、その溝の中に穴を開け、松ヤニを
    塗った麻紐を通してアッパーを固定するという、大変手間と
    力のいる難しい方法だが、どうにか針を手に刺すことなくできた。

    靴づくりの手順は単純といえばそうとも言える。
    革を寸法通りに切って縫い、中底と本底に縫い付けて
    最後にかかとをつけるだけだ。
    しかし、そのひと工程ごとに、小説の行間を読むような、
    音符の意味を推理するような細やかな心遣いが必要だ。

    頭の中のイメージと実際の製作の結果が大きくずれることもある。
    例えば、革は伸び、そして縮む。元々は生き物なので、
    伸びやすい方向を考えて各パーツを裁断する必要がある。
    一事が万事こんな具合で、縫ってはバラしの連続になってしまう。
    音楽同様、何事も経験か。

    靴づくりは難しいが、だからこそ面白い。
    もし興味があったら、ぜひ調べてみてほしい。
    とても興味深い世界がそこにある。革素材そのものにも、
    多くのストーリーがそこにある。
    大工場で大量に鞣(なめ)されるクロム鞣しのものから始まり、
    ヨーロッパの田舎でごく少量だけドングリのタンニンで鞣されるものとか、
    難破した船から引き上げられたトナカイの革とか、ワニやトカゲのような
    爬虫類、はたまた魚類までも素材として利用する文化は驚くべきものだ。

    結局、この間、7足作った。

    オーソドックスだが、なおかつちょっとだけカジュアルなテイストを
    加味したデザインのものを中心に製作したので、長く愛用できるだろう。
    何よりも全て私の足に吸い付くようにフィットする。
    残念ながら、この快感は私以外の人に履いてもらっても
    伝えることが出来ないだろう。
    一歩一歩踏み出すごとに、私のかかとから足先まで優しく、
    しかし、しっかりと支えてくれる。
    歩くという当たり前の動作が、これほどまで気持ち良いことなのだと
    いうことが分かったことが今回の一番の収穫だろう。

     

    * * * * * * * * * * * * * *

      
    普通に生活していて「靴を作ろう」とは思わないですよね~。
    齊藤はとても多趣味で色々なことに挑戦していますが、
    もちろん普段はオーケストラの中でヴァイオリンを
    弾いています!

    ↑ 写真左上の男性が齊藤 清です。

    普段のオーケストラの配置ですと、セカンドヴァイオリンは
    少し奥の方に陣取っていて、見えにくいですが、
    ぜひご注目ください♪♪

    ではまた“5”のつく日にお会いしましょう~!

     


  • 2020.10.10(土)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.1010

    皆さま、こんにちは!
     50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.1010
    今回は、ヴィオラ奏者、飛田千寿子からのメッセージをお届けします。

     この度50周年を迎えた関西フィルですが、私はその半分近く在籍をしております。
    入団当初は大学を卒業したばかりの右も左もわからない若輩者。関西も全く訪れたことがなく、あちこちのホールに行くのも大変(今と違ってGoogle Mapなど使えなかったので)でした。

     そんな私に関西フィルの先輩方はとても親切で、分からない場所があれば連れて行って下さったり、「若いからお給料安いでしょ」とご飯を食べに連れて行っていただいたりと本当によくしていただきました。

     その後引退された方や、新しく入った方とメンバーは随分入れ替わりましたが、優しくて明るい雰囲気はずっと変わっていないように思います。

     こころ奏でて50年、とキャッチコピーにもある通り、関西フィルは心で心を奏でるオーケストラ。楽器を通して人の温かさや悲しみ、人そのものを表現し、聴衆の皆さんの心に寄り添う音楽をこの50年心でつないできたのではないでしょうか。そして人が変わろうと時代が変わろうと、ずっとその音色を奏でて行けると私は思っています。

     突然やってきた想定外だらけの今の世の中ですが、関西フィルだけでなく、音楽や芸術が少しでも皆さんの助けになれば幸いです。

    ヴィオラ奏者 飛田 千寿子

     


  • 2020.10.5(月)
    50周年記念コラム 関西フィルNews
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.1005

    みなさま、こんにちは
    関西フィル50周年記念コラムOp.1005は、
    前回に引き続き、11月まで実施中の「クラウドファンディング」についてお届け。

    今回は、クラウドファンディング(以下CF)のHP
    掲載されていない写真もいっしょにご紹介します
    (以下、敬称略)

     

    オリジナル・デザインぴちょんくん制作中
    みなさま、「ぴちょんくん」はご存知でしょうか??
    ダイキン工業の家庭用ルームエアコンのマスコットです。
    も~どーにでもして~ というCMソングを覚えている方も
    いらっしゃるのではないでしょうか。

       

    JR大阪駅を通られる方には、気温や湿度などを教えてくれる
    「大ぴちょんくん」もお馴染みかと思います
    でも「なぜ関西フィルとぴちょんくん?」と思われた方もいるのでは。。

    ダイキン工業は、理事というかたちで
    日ごろから関西フィルを支援してくださっている企業です。

    今回、事務局スタッフの念願が叶い、
    オーケストラ・デザインのぴちょんくんを
    作っていただけることになりました
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  • 2020.9.25(金)
    50周年記念コラム 関西フィルNews
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0925

    みなさま、こんにちは
    関西フィル50周年記念コラム、今回から2回続けて
    現在実施中の「クラウドファンディング」についてお届けします!
    1回目は、楽団事務局員(ある企業からの出向者です)による、
    「返礼品」あつめの裏話です。

     

    8月19日から、“ONE KANSAIで「関西フィル応援プロジェクト」” というカタチで
    「クラウドファンディング(以下CF)」を始めました。


    (8月19日に行われた記者発表の様子。左から辰巳琢郎さん、藤岡幸夫さん、掛布雅之さん

    この事業、なんといっても「返礼品」と呼ばれる“寄付に対するお礼の品”を
    どれだけ揃えられるかにかかっています。
    CFを決めたのが6月。それから1ヶ月は返礼品を求める旅となりました。
    ここでは3つの品について、ご紹介します。

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