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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0513

 皆さま、こんにちは!
「50周年記念コラム~未来の関西フィルへ」、今回は第二ヴァイオリン首席奏者、増永花恵からのメッセージです。

 

 「楽団創立50周年」ものすごく正直に申し上げると、入団4年の私には実感のわかない言葉の響きです。
50周年の記念演奏会1つ1つ舞台を終えていったなら「50年」という楽団の重みを、喜びをじわじわと感じていたかもしれません。世界中が感染症と戦っている今、演奏家は予定外に時間を与えられ、否が応でも自分自身と向き合わされています。  

 演奏家としてできることを考えています。 その昔、王侯貴族のお抱え演奏家になれなければプロの演奏家、音楽家になれなかった時代、才能はもちろん、複数の楽器を難なく扱い、初見能力も高く、その持ち合わせた高い教養から正しく楽譜を解釈し、軽やかに演奏する技術を持つ者たちがきっと「重宝される演奏家」だったのでしょう。それは今年生誕250年のベートーヴェンが生きていた時代も続いていましたが、彼は王侯貴族に気に入られる音楽ではなく、耳が不自由になりながらも自分と向き合い「芸術」を模索し続けました。

  この感染症が収まるまでの間、一度立ち止まって、これまで歩んできた道のり、これから進もうとする道のり、それを実現するために必要な事をじっくり見極める時間を私は与えていただきました。華やかな舞台に安心して帰ってくるときには、その間耕した栄養でより充実した演奏をできるよう、今精進し続けなければと心を引き締めています。きっとそれが入団年の浅い私に「創立50周年」の関西フィルに出来る唯一の事だと思っています。いつも応援してくださるたくさんのお客様、それから後援企業に支えられ演奏活動をさせていただけることを感謝いたしております。

 近い未来、またすぐに皆様にお会いできる日々を想うばかりです。  

第二ヴァイオリン首席奏者 増永花恵