こんにちは。
前回に引き続き、欧州公演を振り返ります〜
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Part2はこちら
パリ公演
10月13日、ゲントの朝焼けを見納め、パリに向かいます。
パリ公演は指揮者マテュー・ヘルツォーク氏の尽力で実現した公演で、ありがたいことに完売御礼でした
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〜オーケストラ用語豆知識〜
移動をし、その日のうちにゲネプロ・本番を
行うことを『のりうち』と言います
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ここからのツアーは、パリもフランクフルトも『のりうち』です。
『のりうち』公演は、交通事情などの意味でも、奏者の体力的にも、決して好条件とは言えません。
むしろ避けるべきなのですが…様々な事情が重なり、今回のツアーは止むを得ず『のりうち』の行程でした。
「そうと決まればやるしかない」そんな気持ちで楽員・スタッフ一同挑みました。
とはいえ…我々がヨーロッパに発った日、イスラエル・パレスチナ紛争が始まったのです。
ストライキやデモなど、不可抗力の懸念もあり、とにかく安全に予定通りに目的地に辿り着けるかという不安が付き纏いました
約5時間バスに乗り、セーヌ川の大きな橋を渡った先に、キラキラと輝くラ・セーヌ・ミュージカルが目に入りました。無事に到着!!
3枚目写真提供:Vn徳岡裕紀
ホールの中に入ると、ステージを360度取り囲む赤い客席と、ハニカム構造の美しい天井に感動
ラ・セーヌ・ミュージカルは、2017年に日本人建築家の坂茂さんらにより設計建築されたモダンなホールです。
電子チケットの導入など、全てにモダンさを感じました。
そんな新しいホールに胸を躍らせ、それぞれの席でホールの響きを確かめていました。
噂に違わぬ素晴らしい響きのホールで、ゲネプロで響きを掴むのにそう時間はかかりませんでした
本番までにそれぞれのコンディションを整え、20:30に開演。
(ヨーロッパではこういった時間のコンサートも珍しくないようです)
この日のヘルツォーク氏はいつも以上に切れ味が鋭く、ホームグラウンドでの公演という気合いが滲み出ていました!
「フィガロの結婚」序曲にて軽快に幕開け、デュメイ監督のモーツァルトのコンチェルト、ツィガーヌに続き、アンコールではデュメイ監督のバイオリンとヘルツォーク氏のヴィオラによる阿吽の呼吸を披露しました
そして、後半はドヴォルザークの『新世界より』
関西フィルらしい温かく明るい演奏でしたが、最後の音が消えるや否や、約1,200席のお客様からの割れんばかりの鳴り止まない拍手と、総立ちのスタンディングオベーション、熱狂的な歓声が湧き起こったのです
あまりの盛り上がりに圧倒されましたが、このツアーで最も印象に残った光景となりました。
パリの市民が、これほどまでに日本のオーケストラを温かく迎えてくださったことに胸が熱くなりました
余韻に浸るのも束の間、時刻はすでに23時…翌日のフランクフルト公演を控えているため、急ぎホテルに向かいました。
が…!!旅にハプニングがつきものとは正にこのことで、深夜のホテルに火災警報器が鳴り響き、全員外に避難するハメに
不幸中の幸い、原因は他の宿泊客のタバコの不始末とのことで大事には至らなかったのですが、部屋に戻ったのは午前2時を回っていました……。
明日はフランクフルトに向けて午前6時には出発です
とにもかくにも明日の公演の無事を祈りつつ、しばし眠りについたのでした
翌フランクフルト公演については、『欧州公演ブログPart.4』に続きます。