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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0817

皆さま、こんにちは!
 50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0817
今回はチェロ奏者、大町剛からのメッセージをお届けします。

 いつも関西フィルを応援していただき、心から感謝申し上げます。
 私が関西フィルに入団してから28年が経ちます。
そうして迎えた2020年、楽団創立50周年。
この記念すべき年に「コロナ禍」という前代未聞の凶事によって、文化活動は大きなダメージを受けました。

 歴史を振り返ると100年毎に疫病が流行し、世界の芸術、文化の変革にも多大な影響を及ぼしてきました。世界人口の3分の1が感染した「スペイン風邪」の終息から100年が経ち、2020年が再びその変わり目に当たるのかどうかは解りませんが、今回のパンデミックをきっかけに我々演奏家も様々な面において変化を求められているのかもしれません。

 しかし、そのような渦中にあっても、芸術が持つ力とその魅力は決して廃れるものではありません。デジタル革新の波が押し寄せる中、楽しみ方にも多様性を求められるかもしれませんが、音楽の原点であるクラシック音楽の素晴らしさをどのように伝えていくかが今後の課題となります。ポジティブな方向に視点を変えるとコロナ渦は、パソコンやテレビの画面では得ることのできない臨場感や身体に直接響く音、観客と空間を共有する幸福感など…リアルのアンサンブルの素晴らしさを改めて気づかせてくれました。

 様々な形式での音楽配信も5月頃までは「とりあえずの急場しのぎ」と捉えられていましたが、状況の悪化により新たな音楽文化に向けて技術的刷新が本格化しています。それによって今後「生演奏」はプレミアが付くものになっていくのではないかと思います。

 人と人が織りなす「究極のアコースティックサウンド」の追求、それは楽団創立50周年目にして新しく挑戦し続けることを意味します。若い世代にもクラシック音楽の魅力を理解してもらえるきっかけになることを願い、これから更なるアップグレードに是非ともご期待ください。