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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0518

 皆さま、こんにちは。
50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0518
今回は、ヴィオラ奏者、多田素子からのメッセージをお届けします。

 楽団創立50周年、楽団が総力を賭して迎えようとしていた矢先にコロナによってこのような状態になってしまった事、本当に残念に思っております。

 思えば、私が入団したのは阪神淡路大震災のひと月後の平成7215日でした。
その折も楽団は大変な問題をいろいろと抱えており、その中での大震災被災に新たな苦しみを抱えた直後でした。

 私も、念願のオーケストラに入れた喜びをゆっくり味わう間もなく、次々と襲ってくる楽団の問題に不安で胸をいっぱいにした事を鮮明に覚えています。

 あれから早くも四半世紀、楽団員一丸となり数々の困難を乗り越えながら、関西フィルハーモニー管弦楽団はこのたび50周年を迎えます。

 ファンの皆様や後押ししてくださる企業の皆様の応援を胸に、どんなに大変な状況に陥っても、楽団員皆んなが本当に音楽を愛し関西フィルを大切に思い、いつでも前向きに活動してきた結果だと思っています。
どのような状況の時も皆様に楽しんでいただけるような演奏にしたいと全力で取り組む姿勢は、手前味噌ですがどのオーケストラよりも強いと自負しております。

 コロナが蔓延している中、オーケストラの仲間達と音楽ができないという不安で先の見えない苦しい毎日ですが、私は悲観などしておりません。
なぜなら、今までどんな時もどんな壁も関西フィルはみんなで乗り越えてこられたという実感があるからです。

 音楽は美しいものからも生まれますが、苦しさ不自由さの中からも希望という名で生み出されます。

 歴史を遡ると、パンデミックや世界大戦の時代にあって音楽家たちが表現の機会や場所を奪われたこともあったでしょう。その中にあって音楽家はしっかりと再興を考えていたはずです。音楽の力は大きいのです。

 アフターコロナの世界はもう別の世界。それゆえ今後は全く考え方を変えていかないといけません。音楽家・演奏家としての自分が変えてはいけない部分と、新しい社会環境に変えていくべき部分、しかし、世界は変わっても、観客に対峙する音楽家の熱意は変わらない。

 私は、コロナによって大変な状況になってしまった事により、音楽家皆がより奮起して、今後不死鳥のごとくますます素晴らしい演奏を生み出す力になると信じています。私自身、今後自分がどうあるべきか。
 コロナの影響での活動制限は、私自身についても考える機会と受け止めてこの試練を乗り越えたいと思います。

最後になりましたが、この騒動の早期終息を祈念し、再び皆様と関西フィルのコンサートでお会いできますよう心から願っております。

ヴィオラ奏者 多田 素子