2025年度からの新・指揮者体制
いつも関西フィルを応援していただき誠にありがとうございます。
1970年に設立された関西フィルは、2025年に楽団創立55周年を迎えます。この節目の年に、楽団の持続的な成長を企図して、新しい指揮者体制で臨みます。
2011年より13年間音楽監督を務めてきたオーギュスタン・デュメイ(写真下段右)は契約満了に伴い退任することとなりました。独特の音楽観を楽団に浸透させ主に弦楽器のアンサンブル力の向上に務めるとともに、2回にわたる楽団の欧州公演の実現に貢献しました。
以後は名誉指揮者として定期的に共演し、引き続き楽団のアンサンブル力向上、並びに欧州とのリレーション強化に期待します。
関西フィルと26年目のシーズンとなる首席指揮者の藤岡幸夫(写真上段左)は新たに「総監督」に就任し、総監督・首席指揮者として、楽団を牽引します。総監督には、楽団の継続的な発展のために、楽団の経営・運営面へ協力し、社会や地域への貢献活動を強力に推進します。
まずは指揮者陣のトップとして、楽団と永らく取り組んできた
①クラシックのコアファンを対象にした活動(新作を含む邦人作品を積極的にとりあげる演奏会の開催、全集CDでも高い評価を受けたシベリウスの交響曲の演奏、今後毎年マーラーの交響曲をとりあげる定期演奏会の開催など)、
②クラシック(オーケストラ)ファンの裾野を拡げる楽しい演奏会の開催、
③若手音楽家の発掘と育成、
④関西の地域社会への音楽を通じた文化支援活動 をさらに強力に推進、
その卓越したプロデュース能力で楽団をより個性あるオーケストラに成長させます。
さらに、ファンドレイジング(資金調達)への協力、日本のクラシック界、オーケストラ界の中での関西フィルの存在感の向上に努めることを期待します。
首席客演指揮者として3年目のシーズンとなる鈴木優人(写真上段右)は、指揮のみならず作編曲、鍵盤楽器演奏など幅広く活躍し、音楽への深い造詣を有しています。
引き続き表現力の向上やレパートリーの拡充など、楽団の音楽面での成長に寄与します。
さらに関西フィル初のアーティスティック・パートナーとして、近年活躍めざましいアジアの俊英、リオ・クオクマン(写真下段左)を迎えます。2017年に主催演奏会で初共演し、楽団内外から高い評価を受けました。その国際的な経験により、楽団を新たなステージに押し上げてくれることと期待します。
なお、リオ・クオクマンの日本のオーケストラでのタイトルは初めてとなります。
関西フィルではこれまでも、関西一円を中心に音楽の裾野の拡大と、芸術面での深みの追求の両輪で活動し、関西の多くのファン、行政、企業に支えられてきました。
新たな指揮者体制で更なる進化をめざす関西フィルにどうぞご期待下さい。
記
【2025年4月1日からの指揮者体制】
- 総監督・首席指揮者 藤岡 幸夫
- 首席客演指揮者 鈴木 優人
- アーティスティック・パートナー リオ・クオクマン
- 名誉指揮者 オーギュスタン・デュメイ
- 永久桂冠名誉指揮者 飯守 泰次郎
【藤岡幸夫からのメッセージ】
「関西フィルとは25年間、毎年約40公演で共演しながら共に成長して参りました。
今回の総監督就任は、関西フィルと関西の皆様へ、全ての面での恩返しをする立場と理解しております。
関西フィルのプログラムは「宝石箱」のように華やかで多彩な個性が輝いています。
新しい時代に向けて、これまで以上に心血を注ぐ覚悟です。
どうかよろしくお願いいたします。
【藤岡幸夫 プロフィール】
日本指揮者界の重鎮であった渡邉曉雄最後の愛弟子。サー・ゲオルグ・ショルティのアシスタントを務める。英国王立ノーザン音大指揮科卒業。最も才能あるEU加盟国の若手指揮者に贈られる「サー・チャールズ・グローヴス記念奨学賞」を特例で受賞。1994年ロンドン「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー以降、数多くの海外オーケストラに客演。首席指揮者を務める関西フィルとは2025年が26年目のシーズン、2019年からは東京シティ・フィル首席客演指揮者を兼任。指揮・司会として関西フィルと共に出演中のBSテレ東『エンター・ザ・ミュージック』(毎週土曜朝8:30)は2024年10月で11年目に突入、放送500回を越える人気番組。2002年渡邉曉雄音楽基金音楽賞受賞。
公式ファンサイト http://www.fujioka-sachio.com/
【リオ・クオクマンからのメッセージ】
関西フィルハーモニー管弦楽団のアーティスティック・パートナーに迎えていただいたことを大変光栄に思います。
関西フィルとの初共演は劇的なものでした。
「明日、パリを発って大阪に来られないか」と代役の打診があり、フライトに飛び乗り、関西空港から会場に直行してリハーサルを始めたのを今でも鮮明に覚えています。体力的、精神的にとても大きな挑戦でしたが、プレッシャーはすぐに安堵と感動に変わりました。このオーケストラのエネルギーに満ちた音、強い向上心、新しいアイデアへの寛容さを感じ、素晴らしい音楽家の皆さんとの音楽づくりに打ち込むことができたからです。
これから関西フィルと頻繁に共演し、意欲的なプログラムに取り組むことが楽しみでなりません。
【リオ・クオクマン プロフィール】
マカオ生まれ。
現在、スロヴェニア放送交響楽団首席指揮者、マカオ管弦楽団音楽監督・首席指揮者、香港フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、マカオ国際音楽祭プログラミング・ディレクターを務めている。香港演芸学院、ジュリアード音楽院、カーティス音楽院、ニューイングランド音楽院でピアノと指揮を学び、2014年のスヴェトラーノフ国際指揮者コンクールで最高位を受賞。2016年までフィラデルフィア管でネゼ=セガンの副指揮を任され、地元紙に「驚くべき指揮の才能」と称えられた。
ウィーン響、フランス放送フィル、トゥールーズ・キャピトル国立管、デトロイト響、ソウル・フィル、上海フィル、台湾フィル、N響、都響といった世界の主要楽団に客演を重ね、フレイレ、ケフェレック、アンゲリッシュ、R. カプソンらの名ソリストと共演している。
オペラにも積極的で、《ラ・ボエーム》、《愛の妙薬》、《道化師》、《トゥーランドット》、《イル・トロヴァトーレ》、《リゴレット》、《蝶々夫人》、《カルメン》、《セビリアの理髪師》をはじめ、多数のプロダクションを指揮。
芸術文化の発展への貢献が評価され、香港とマカオの両政府から賞や勲章を授与されている。2021年には香港の”Ten Outstanding Young Persons”(10人の傑出した若者たち)に選ばれた。
以 上