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  • 2020.12.15(火)
    50周年記念コラム
    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.1215

    みなさまこんにちは。

    50周年記念コラム~未来の関西フィルへOp.1215です。
    今回は、事務局スタッフの“つれづれシリーズ”『ああ、第九』編♪

     1212日(土)の第九特別演奏会にお越しいただいたお客様、
    本当にありがとうございました。
    皆様のご協力・ご支援をいただき、
    なんとか無事開催することができました。
    心より感謝申し上げます。

    その年によって増減はありますが、
    毎年、第九公演は12月を中心に6公演~8公演、
    多ければそれ以上、出演させていただいています。
    すなわち、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」全楽章を、
    この回数演奏しているのです。
    年間を通してこれだけの回数演奏する交響曲は、
    「第九」のみでしょう

     

    事務局側として、
    第九は出演者が多いので、準備・確認することがたくさんあります。
    事務局スタッフとしても、第九に向けての準備・現場対応を
    この回数繰り返すことになります

     

    ベートーヴェンの第九、
    人類の遺産とも言える素晴らしい芸術作品です

    が、、、様々な準備・本番当日の対応を繰り返す度に、
    事務局スタッフの、時系列に沿って変化する心境が、
    第九の音楽に結び付いてくるのです~。
    音楽版パブロフの犬

     

    第九公演では、終日、大勢の出演者に
    どれだけスムーズにスケジュール通りに動いてもらうかが、
    大きなカギになります。

    【2019年第九特別演奏会】

    そんな中でも特に、
    本番中の2楽章から3楽章にかけては大きな山です。
    舞台上の広さ・設備によって流れは変わってきますが、
    2楽章終わり(2楽章と3楽章の間)で、ソリスト4人・合唱団さんが
    舞台上に出ていくという一大イベントがあるのです。 
    (1楽章から合唱団さんが舞台上で待機される場合もあります)

    合唱団さんの皆さんに、
    「では、〇時〇分頃には舞台袖に並び終えていただけますか」
    と事務局からお願いすることがあるのですが、
    お伝えした時間が少し早く、寒い舞台袖で合唱団の皆さんに
    立ったままお待ちいただいている状況になると、
    とても心苦しい気持ちになります。。

    合唱団さんには、もちろん本番が始まるより前にスタンバイ時間を
    お伝えします。
    2楽章終わりのタイミングを見極めるには、
    開演時刻からチューニング、序曲の音が出るまでの時間、
    序曲終わりの時間、その後拍手があって、
    演奏者の出ハケ・チューニング、で、第1楽章が始まって、
    と最初から積み重ねて考えていきます。
    本番が始まってからこの机上の空論プランにズレが生じてくると、
    どんどん手汗が。。。

    そして2楽章はテンポが速めで繰り返しが多い!
    少し他のスタッフと確認作業をしていると、
    あっという間に曲の中で迷子に
    2楽章終わりのタイミングを確実に把握しておきたいのに…!!

    なので、何か1つか2つ、不安材料が重なってしまうと、
    2楽章の音楽に煽られ、もう事務局スタッフの心境はカオス

    2楽章終わりで、ソリスト4人・合唱団さんを無事舞台上に送り出し、
    その後に聴こえてくる第3楽章、
    これほど事務局スタッフの心に寄り添ってくれる音楽が
    他にあるでしょうか

    この心の平安の中、舞台袖で聴く3楽章・歓喜の4楽章は
    何回聴いても格別です。

     

     第九の演奏会は、
    何かの序曲(または短い曲)+ 第九
    というプログラムで構成されることが多く、この序曲の選曲にも
    結構事務局スタッフは悩みます。
    (ここにはまた複雑な事務局スタッフの心境が反映される)

     

    ベートーヴェン作曲の序曲の中で、
    特に演奏する機会が多いのは、

    「フィデリオ」序曲
    「コリオラン」序曲
    「レオノーレ」序曲2番・3
    「エグモント」序曲

     などでしょうか。

     この序曲を演奏している最中は、ソリストも、合唱団も、
    打楽器奏者も、曲によっては各種管楽器奏者も舞台上には
    出ておらず、それぞれスタンバイが完了しているか、
    ドキドキしながら舞台袖をウロウロ

    (大丈夫?大丈夫?みんないるよね?)
    (寒い。。)
    (あと何分で序曲終わる?)
    (は~、年末)
    (あのパートの奏者がまだ舞台袖に来てない!)
    (結局お昼ご飯食べられなかった…)

     などと色々なことに思いを馳せています。
    この地に足付かない感じが、いつどこでどの序曲を聴いても
    蘇ってくるのです!!

    【2019年、「命名祝日」序曲】

     まとめると、
    「ベートーヴェンの序曲は何を聴いても年末のそわそわした気分になる」。

     

     そんな序曲の中、最近、イメージが変わった序曲として
    レオノーレ序曲第3番があります。

     2018年に、新国立劇場の「フィデリオ」を
    見に行かせていただきました。
    関西フィル桂冠名誉指揮者、飯守泰次郎さんの
    新国立劇場オペラ芸術監督在任期間最後のオペラでした。
    「フィデリオ」の本編の中、レオノーレ序曲第3番が演奏されるのですが、
    この間に舞台上で起こった事、あまりの衝撃に凍り付く客席…。
    音楽は、とても華やかなレオノーレ序曲が鳴り続けています。
    この時の雰囲気は一生忘れることはないでしょう。

     先日、NHK「オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー」で
    九州交響楽団さんのレオノーレ序曲第3番を聴いた時、
    「フィデリオ」の衝撃的な場面が蘇ってきて、この印象無くして
    レオノーレ第3番を素直に聴けることはもうないだろうな、
    と思いました。

     オペラにおける演出の重要性、
    既存のオペラをここまで深く掘り下げる演出の深遠さ、
    ある意味、音楽で人の心を支配できてしまうということ、
    などを色々考える機会となりました

     

     “第九”の話から少し逸れてしまいましたが、今月、
    もう1公演第九を演奏させていただきます

     本当に長くお付き合いさせていただいている
    神戸フロイデ合唱団さんの第九演奏会です
    1223日(水)に兵庫県立芸術文化センターにて、
    きっちりと感染防止対策をされて開催されます。

     【神戸フロイデ合唱団HP】

    コロナで終わってしまう2020年、
    第九演奏会に出演できることを心から感謝しながら、
    あまりバタバタしなくて良いように、
    練習・本番に向けて準備をしたいと思います。

     では皆さん、また“5”の付く日にお会いしましょう!!