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  • 2014.7.16(水)
    関西フィルNews
    夏といえばショスタコ5番でしょう!!

    みなさんこんにちは
    7月18日(金)、盛夏の定期演奏会が迫ってまいりました。

    今年の夏、7月定期と9月定期は”ベルリン・フィルを支えた男たち”シリーズです

    ほぼ同時期の20年間、ベルリン・フィルの要職、
    オーボエ首席を務めたハンスイェルク・シェレンベルガー氏を7月に、
    ヴィオラ首席を務めたヴォルフラム・クリスト氏を9月にお招きします

    カラヤンやアバドの時代、数々の名演に携わっていらっしゃったことでしょう・・・

    シェレンベルガー氏とは2002年から6回目の共演となります。

    2002年、ハイドン:十字架のキリストの最後の七つの言葉
    2004年、メンデルスゾーン:交響曲3番「スコットランド」
    2006年、レスピーギ:シバの女王ベルキス
    2008年、ベルリオーズ:幻想交響曲
    2009年、シューベルト:交響曲7(8)番「未完成」

    というメインプログラムでしたバラエティー豊かですね~。
    今回はこの豊かなバラエティーの幅をさらに広げるショスタコーヴィチ

    そう!!話は変わりますが、夏と言えばショスタコーヴィチの5番を
    絶対聴くべきでしょう!!

    20世紀最大の作曲家の一人、ショスタコーヴィチの作品の中で、
    最も親しまれており最も夏に相応しいと思われる交響曲第5番

    この曲は当時の共産党からの抑圧の中で作曲され、「強制された感情」が
    織り込まれたとも言われていますね。
    単純に”輝かしい勝利”として受け止められる内容ではありませんが、純粋に音の並びや
    ハーモニー、オーケストラの壮大な響きは、盛夏にぜひ聴いていただきたい
    血沸き肉躍る名曲だと思います

    空間を突き抜けて響く管楽器、ここぞ!というには全てを支配してしまう打楽器、
    格別に静謐な響きの第3楽章での弦楽器群・・・

    DSCF7805

    昨日の練習初日、2日目の今日と、ショスタコーヴィチを集中して練習しました。

    DSCF7808

    ショスタコーヴィチ第5番にしては、少しだけテンポが速めのように感じました。
    楽団員に聞いてみると、
    「確かにテンポは速めに感じるけど、これがショスタコーヴィチが指定したテンポに
    忠実だよ、実は。
    この曲で習慣的になってしまっているテンポのゆれや強弱変化が削ぎ落とされていて、
    これがショスタコーヴィチが書いた本当の音楽なのかも。」
    ということでした

    DSCF7798

    練習中、「too much」「enough」という言葉を度々おっしゃっていました。

    大音量よる虚飾を避け、内面的な要素でこの第5番を表現されようと
    してらっしゃるのかもしれません。

    全体のバランスをとても注意深く調整されています。
    いくつか組み合わされているメロディーの中でも、一番重要なメロディーが
    浮き上がるように、音量、響きを組み立てられました。

    DSCF7825

    とにもかくにも、何度も言いますが、絶対的に夏に聴くべきショスタコ5番
    どんどん暑くなる夏を目の前に、これを聴けば元気100倍スタミナがつくこと
    間違いありません

    色々話を聞いていると、クラリネットの吉田悠人は今回”ショスタコーヴィチ第5番デビュー”
    を飾るということが発覚それも「Esクラリネット」で

    Esクラリネットは一番頻繁に使用されるB管クラリネットに比べ、高い音域(4度上)
    の音が出るよう作られた少し小さ目のクラリネット

    DSCF7831

    向かって左がEsクラリネットです。ちっちゃいですね!!

    頻繁にオーケストラ曲に登場する楽器ではありませんが、このEsクラリネットにしか絶対
    出せないキャラクターの音色があり、作曲家達が効果的に使ってきました。

    甲高く、鋭くきわだった音色で、狂ったような感情、少し品を落とした表現、時にはとぼけた
    ような表情などを得意とします。
    とにかく、平常平安な雰囲気の中でこのEsクラリネットが目立つメロディーを演奏している
    ことはほぼ無いと言えるでしょう。

    ショスタコーヴィチ第5番では、第2楽章の最初にこのEsクラリネットの特色が
    最大に生かされるソロがあります。
    しかし、この曲全体を通して演奏箇所はかなり多く、オーケストラが”通常ではない
    雰囲気”を纏っていることに、Esクラリネットは最大の効果を発揮しています。

    このEsクラリネット、B管クラリネットに比べリードも小さくなっています。

    DSCF7832

    左がEsクラリネット用のリード。
    < br />リードも楽器全体も小さく、少しの息遣いの違いが大きな音程の違いとなって現れるので、
    とても音程が取りにくいそうです。
    高い音を出すために作られたのでもちろん高い音を吹くことが多く、
    それはとても圧力の強い息が求められるので、体力を使い果たすとのこと

    吉田悠人、練習後に「耳鳴りがする・・・」と言っていました

    27歳ショスタコ5番デビューの吉田悠人、応援よろしくお願いします

    DSCF7842

    明日はセバスチャン・ジャコー氏を迎えての練習風景をご紹介します。

    みなさん、どうぞご期待ください。
    チラシのお写真以上にイケメンです

    そして木管フルートで奏でられるビロードのような音色と超絶技巧・・・

    フルートの貴公子登場です

    【関西フィル258回定期演奏会】

    [日時]2014年7月18日(金)19:00開演 (18:00開場)
    [出演]
    指揮:ハンスイェルク・シェレンベルガー
    独奏:セバスチャン・ジャコー(フルート)

    [プログラム]
    ◆モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲 K.620
    ◆C.P.E.バッハ:フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22
    ◆ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47

    入場料:S席¥5,000/A席¥4,000/B席¥3,000/学生席(25歳以下)¥1,000
    (全席指定・税込)

    ※学生席は関西フィル・チケット受付でのみご予約承ります。
    ※出演者、曲目、曲順など、内容が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。