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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.1223

皆さま、こんにちは!
 50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.1223
今回は、チェロ奏者、分藤美紀子からのメッセージをお届けします。

 

 こんにちは、チェロパートの分藤です。
12月も半ばとなりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
2020年は関西フィルが50周年を迎える年として公演・イベント等いろいろと準備されており、それを楽しみにしてくださっていたお客様も多くいらっしゃったと思います。
 
新型コロナ感染症の影響から、残念ながらそれらの催しの中止や内容変更を余儀なくされてしまいましたが、そのような状況下においても変わらず応援してくださったお客様や理事企業の皆さまに心からお礼を申し上げます。

 2020年は公私ともにトラブル続きの大変な年でしたが、今思い返せば私にとってはとても貴重な 忘れられない一年間でした。
私事で恐縮なのですが、私は昨年末に少しばかり深刻な病気が見つかり、今年の年明け早々に手術となりました。
 術後の痛みを抱えながら身体と楽器演奏のリハビリを終え、3月中旬には職場復帰する予定でしたが、その頃から新型コロナ感染症の影響で公演中止の本番が相次ぎ、職場復帰かなわぬまま数か月を過ごすこととなりました。
政府の外出自粛要請もあり、同じ関西フィルの楽員である夫と二人で自宅にこもる日々が続き、この時は楽器演奏のための通常の基礎練習に加え、夫との二重奏やこれまで弾いたことのない独奏曲にトライしたりと、二人で学生時代の合宿を彷彿とさせるような毎日を送っていました。
 
一日の多くの時間を自身の楽器練習に費やすことができたということは、練習量という一面だけを考えれば仕事に追わることなく自分を磨くまたとない機会だったとも言えなくはないのですが、このような長い期間公開演奏の機会が全く無くなってしまうことに対するとまどいと、「今のような状況下において、私たちのような職種は必要とされてはいないのではないか」という不安な気持ちを抱えながらの毎日でした。

 そして6月の定期公演、待ちに待った演奏活動の再開です。 
私にとって半年ぶりのステージであったこの演奏会の感動を、私はこれからも決して忘れることができないでしょう。

 感染に対する不安を感じる方も多くいらっしゃったであろう中、当日ホールへ足を運んでくださったお客様への感謝の気持ち、そしてステージに立ち演奏するという喜びと高揚感! 私たち演奏家にとって日々の練習の積み重ねは欠かせないものですが、自宅でただ練習のみを繰り返しているだけでは得られないものがあります。

 ホールでお客様と同じ空間を共有しながら演奏すること、それが生演奏の素晴らしいところであり、まさしく私たち演奏家はお客様に育てていただいているのだと、演奏後に拍手をいただきながら改めて実感しました。

 治療のためもうしばらくは通院しながらの演奏活動ですが、この経験を忘れず何気ない日常の中にこそある幸せに感謝しながら、これからも良い演奏をお送りできるよう心がけていきたいと思います。
 
コロナ禍において関西フィルは大きな打撃を受けましたが、これを乗り切りさらなる飛躍が待っていると信じています。そして、音楽という存在が皆様にいつも寄り添い、癒しや勇気を感じさせることのできるものであってほしい、また、そのための関西フィルでありたいと思っています。

 どうぞこれからも関西フィルをよろしくお願いいたします。
 

チェロ奏者 分藤(徳岡)美紀子