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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0601

 皆さま、こんにちは!
 50周年記念コラム~未来の関西フィルへ K.0601
今回はホルン奏者、中川直子からのメッセージを
お届けします。

 楽団創立50周年という記念の年、応援してくださる皆さまに感謝を伝え、意欲的なプログラムや様々な企画で喜びを共有していただければと思っていたところ、まさかこのような形でストップがかかるとは思いもよらぬことでした。演奏会が中止になるだけでなく、誰かと一緒に演奏することすら叶わない今の状況は、とても辛く苦しい毎日です。

  思い返してみれば、大学を卒業する際に自分の技量に自信がなく、プロを目指してこのまま演奏活動を続けていくのかどうか悩みました。
その時に決め手になったのは、「みんなと一緒に演奏して得られた喜びをもっと感じたい、そのためにまだ努力を続けてみよう」という気持ちでした。学生時代から好きだったのはソロではなくアンサンブルやオーケストラ、誰かと一緒に合奏することでした。合奏したときに個々の力以上のものが発揮できたり、思ってもみない方向に音楽が向かっていったりする、
そういう楽しさに夢中になりました。

 そんな私が、ホルンパートの中でもソロやリーダーシップを取ることが
多い上吹きではなく、周りの呼吸を読んで合わせて演奏する下吹きを選んだことは、ごく自然なことでした。

  無事にコロナが終息した時、良くも悪くもコロナ以前と全く同じ状態ではないでしょう。演奏の機会を失っている今、自分にとって音楽がいかに大事なものなのか、お客様の前で演奏できることがいかに有り難いかをひしひしと感じています。

 今回のことが無駄なことだけではなかったと後に振り返られるよう、
今の気持ちを決して忘れることなく、演奏に思いを乗せてお届けできればと思います。

 皆さまと笑顔で再びお会いできる日を、心待ちにしております。

ホルン奏者 中川 直子