東大阪市文化創造館の設計に携わられた佐藤総合計画、竹馬さんへのインタビュー
2019年9月1日(日)にオープンする東大阪市文化創造館。
今回は文化創造館の設計に携わられた佐藤総合計画関西オフィスの
竹馬(ちくま)聡さんに、お話をお伺いしました。
設計のお話は、とても難しくなかなか理解できませんでしたが、
竹馬さんが描かれた実際の設計図を見せていただき、
どのように設計されたかを教えていただきました。
図1:手描きの断面スケッチ(2016年1月)
図2:断面図
(2017年8月の設計図をもとに作成したホール利用者向け)
「図1は、我々の設計チームが建物全体の計画書(技術提案書※1)を
つくる初期段階で、建物の配置について検討を始めるにあたって
描いたものです。
大ホールはとても大きなボリュームで、街の景観や周辺環境等に与える
影響が大きいので、『大ホールを敷地内のどこに、
どの向きに配置するのか?』ということは、
建築の計画を立てる上で非常に重要なポイントとなります。
ここで想定したボリューム感が大きくぶれると、
提案内容を大幅に修正する必要が出てきます。」
※1技術提案書:東大阪市が文化創造館PFI事業の事業者を選定する際に求めた提案書
図3:コンピュータによる視線シミュレーション(2016年2月)
「3層バルコニー形式(1500席)のどの席からもステージ全体を
良く見渡せて、客席全体を効率的、かつ、コンパクトに配置するために、
劇場の設計では平面図と断面図を同時に描きます。
その上で、コンピューターシュミレーション(図3)で
客席からの視線を検証し、
『最高の音響空間』・『上質な鑑賞環境』を提案しました。
その後事業者が特定され、具体的な設計がスタートしました。(2016年7月)
設計段階では意匠・構造・設備・法規・コスト等、様々な詳細検討を重ね
2017年9月に建設工事に着手するはこびとなりました。」
初期段階で作成した手描きの断面スケッチ(図1)と
最終的な断面図(図2)を重ねあわせてみると、
大ホールのボリュームはほぼ変わっておらず、
精度の高いスケッチだったことに竹馬さんご自身も驚かれたそうです。
2月時点でのホールの進捗状況をご覧になった竹馬さんのご感想
「私が設計チームの一員としてこのプロジェクトに参加して、
早いもので3年以上が経過しました。
当時描いたスケッチが建物として出来上がっていくのを目にするのは
とても感慨深いものがあります。
一つの建物ができるまでには多くの人が携わっています。
文化創造館もこれまでに、企画・設計・施工・開業準備と
多くの方々が関わって、9月のオープンを目指して、あと少しのところまで来ました。関わってこられたすべての方に敬意を表するとともに
感謝したいと思います。
文化創造館の主役は市民の皆さまであり、文化創造館の見どころは
これからの市民の文化活動です。文化創造館の完成は目前です。
皆さま是非、ご期待していただきたいと思います。」
インタビュー前に市内の小学生を対象にした工事見学会に
参加させていただきました
壁を完成させたり、足場のミニチュアを組み立てたりと、
どのようにホールが造られているかが分かる内容でした
部材に名前、夢、希望などを書き込んで壁に埋め込みます。
完成一度埋め込むとコンクリートの壁を壊さない限り、
二度と取り出せません。
足場のミニチュア
目の前で実際の足場を組み立てていただき、それを見本として、
親子でミニチュア足場を組み立てます。
難しそうですが、ごく短時間で組み立てることができました。
現在の大ホールの様子
昨年の9月時点では足場ばかりでしたが、大ホールの中の工事も
随分進んでいます。だんだんイメージが湧いてきますね
親子室から見た大ホール
ホール正面に植えられたヤマザクラは熊本県から取り寄せられました。
オープンまであと4ヶ月。完成が楽しみですね