2024年度ライジングスター・プロジェクト優秀賞を受賞されたコントラバス奏者、十河七海(ソゴウ ナナミ)さんへインタビューさせていただきました。
コントラバスへの思いや8/11Meet the Classic公演でソリストとして演奏する意気込みなどをお伺いし、落ち着いた中に芯の強い想いを感じました。
質問にも丁寧に分かりやすく答えてくださり、とても素敵な方です。

優秀賞を受賞された大屋響さん、林成さん、十河七海さん
コントラバスを弾き始めたきっかけ
中学吹奏楽部の顧問の先生に、小学生の時にヴァイオリンを弾いていたことを話すと、その流れでコントラバスに決定しました。
流されるままに決まったので、よく分かっておらず、後からコントラバスは演奏のなかで「目立たない…」と思うことに…。
しかし、ゲーリー・カーのCDを聴いて、「目立たない楽器ではない、ソロも十分にできるんだな」と、それまでには考えられなかった世界を知らされました。
部活で演奏する曲では第2、3ポジションくらいまでの音域しか演奏しませんが、もっと高音も弾けるようになれば、ゲーリーが見ている世界を自分も見られると思いました。
流されることが多かったけど、羽生結弦さんの練習方法や気持ちの入れ方が刺激に
音高、芸大を卒業していますが、私が楽しい「高校生活を送れるように」と顧問の先生が勧めてくれた音高へ、周囲に音楽大学を目指す人が多かったので芸大へ進学と、流されてきました。
浪人時代に、エチュードのみを徹底して練習していた期間と幣隆太朗さんのマスタークラスを受けたけれど全然ダメだった経験のおかげで、初めて地に足をつけて演奏について考えられるようになり、今の私の基盤になっています。
それでも、大学に入学してからも周囲に流されるままに過ごすという、同じことの繰り返しでした。
学生生活の集大成である学位審査も演奏も上手くいかなかったときに、羽生結弦さんのアイスショーの伴奏をさせていただくことに。
世界に挑戦する人の練習方法や気持ちの入れ方を間近で見たことで、「努力を怠っていただけなのに、自分で限界を決めてしまっていた」と情けない自分に気づかされました。
そこから自分の演奏の良い点と欠点をきちんと理解して、質を重視した練習をするようになりました。
これをきっかけに、受けられるコンクールには全て応募し、通過するようになっていきます。
コントラバスだから
「コントラバスなのに」という表現を使われずに評価してもらうことが私の理想です。
楽器の短所を感じさせない技術を身につけ、コントラバスの豊かな倍音を活かした「コントラバスなのに」ではなく「コントラバスだから」できる演奏を目指して精進してまいります。
※ライジングスター・プロジェクト応募時のコメント
オーケストラや室内楽では、演奏を根底から支えるポジションの楽器ですが、「ソロ」となるとヴァイオリンやチェロのようにメジャーな楽器ではありません。
全員ではありませんが、同業者自身が「お客様の需要がない」と思っていると感じられ、リサイタルをすると、「よくやるね」という空気感があります。
「コントラバスなのに」ではなく、「コントラバスだからだよね(=コントラバスだから良い演奏会になるよね)」というイメージにできればと。
ライジングスター・プロジェクトに応募したのも、自分が世に出れば、少しでもコントラバスの魅力を知っていただけると思ったからです。
この気持ちは優秀賞受賞でより強くなりました。
コントラバスや演奏以外にも、十河さんのことを知っていただきたく「好き」をお伺いしました!
自分を大切にしつつ、周囲にもしっかりと気遣えてリードしている |
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選曲理由と意気込みをお聞かせください
2曲に絞って2ヶ月ほど悩みましたが、幣隆太朗さんに「コントラバス・コンチェルティーノ」を紹介していただいて聴いた瞬間、これにしようと決めました。
リズムと音域とメロディーラインに「コントラバスの魅力」が充実している曲です。
ソリストのトップバッターとして良い演奏をすれば、次に続く大屋響さんと林成さん、「ライン」の演奏を聴いてくださるお客様の耳が変わってくると思います。
私の演奏でいい流れに持っていきたいですね。
そして、熱い人というイメージの藤岡幸夫さんの指揮で演奏をするのは初めてで、「コントラバス・コンチェルティーノ」がどのようにまとまるのかが楽しみです。
お客様へメッセージ
ラーション:コントラバス・コンチェルティーノ→ドヴォルザーク:チェロ協奏曲→ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、そして「ライン」という、最低音からシンフォニーと、楽器のキャラクターを知っていただけるプログラムだと思います。
それぞれの特徴が伝わるコンサートですので、楽しみにしていてください。

シンフォニア岩国 アフターヌーン・コンサート
他の人には絶対負けない魅力
指揮、藤岡幸夫さんが音楽家になるには、他の人には絶対負けない魅力を2つ以上持っておくべきと仰っていましたので、お伺いしました。
「演奏スタイルの我を通す」「音を一音も捨てない」
インタビューの中でもこの2つの魅力がにじみ出ていました。
ぜひ住友生命いずみホールで十河さんの演奏からも感じてください。
Meet the Classic Vol.49
- 2025年8月11日(月・祝)
- 15:00開演(14:00開場)
- 住友生命いずみホール
- 指揮&お話:藤岡 幸夫(関西フィル総監督・首席指揮者)
- ヴァイオリン:大屋 響
- チェロ:林 成(リン セイ)
- コントラバス:十河 七海
[プログラム]
【第1部】
~ライジングスター・プロジェクト2024優秀賞3名とのフレッシュな協演~
●ラーシュ=エリク・ラーション:コントラバス・コンチェルティーノ 作品45-11〔十河〕
●ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 より 第1楽章〔林〕
●ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 より 第3楽章〔大屋〕
【第2部】
●シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 作品97 「ライン」
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