皆さま、こんにちは。
「50周年記念コラム~未来の関西フィルへ」、今回はフルート奏者、
虎谷朋子からのメッセージをお届けします。
演奏活動が出来なくなって2か月を迎えようとしています。
この先も中止や延期の連絡が次々に入り、何も出来ないまま、
どうして良いかわからないまま過ごしていました。
思えばこれまでに何度も存続の危機がありました。
母体であったヴィエール・フィルを経て、小松一彦さんを常任指揮者に迎えて関西フィルが発足したのはザ・シンフォニーホールが出来る前の事です。
小松さんによって徹底的にオーケストラの合奏の基本をたたき込まれた後、黒岩英臣さんからは真摯に音楽に向き合う情熱、ウリ・マイヤーさんからは響きや和音のトレーニングにより、やわらかなオーケストラのサウンド、
流麗な音楽の運びを得ました。新しいレパートリーとしてバルトークや
ルトスワフスキーのオーケストラの為の協奏曲を定期演奏会で取り上げたのもこの頃でした。
今から20年前、藤岡幸夫さん(首席指揮者)が来られるまでの間に、現在も桂冠名誉指揮者である飯守泰次郎先生を始め、名だたる指揮者の方々に来て頂き、また様々な依頼公演により多くの経験をする事が出来ました。
現在はオーギュスタン・デュメイ音楽監督も加わり3人の指揮者から、
それぞれの個性、得意分野を生かしたプログラムで、独自のカラーを打ち出しています。
この2か月、演奏活動が出来ない事で、しみじみ生演奏の活動の大切さを思い知りました。
一人一人が楽器を演奏し、力を合わせてひとつの響きを奏でる、これこそオーケストラの醍醐味です。
世界中にたくさんのオーケストラがありますが、ひとつひとつ違った響きがします。
私は関西フィルにしかない、暖かで人間味のある、リハーサルではごちゃごちゃしていても本番で協力し合って情熱がほとばしる生演奏が大好きです。
これまでも何度も存続の危機に遭いながら、多くのご支援を頂いて参りました。
お蔭様でたくさんの演奏会を開催する事が出来、また多くの経験を積んで来られた事は本当に幸せな事と感謝の気持ちで一杯です。
世の中が、経済が、医療現場が大変な時ですが、再び安全で健全な暮らしが戻り生演奏が出来る時こそ、社会に元気を届けられると思います。
私はあと1年と8か月ほどで定年を迎えますが、若く優秀な奏者達が関西フィル独自のサウンドを引き継ぎお届け出来る事を確信しています。
これからも変わりませず、関西フィルにご支援を賜りますよう、どうか宜しくお願い申し上げます。
フルート奏者 虎谷朋子