心の襞(ひだ)に触れる演奏会を全員で創り上げたい/仲道郁代さんへのインタビュー
5月17日定期演奏会ソリストの仲道郁代さんへインタビューさせていただきました。
関西フィルとは、8年ぶりの共演です。
仲道さんの思うベートーヴェン像と『皇帝』への思いを教えてください。
◆ベートーベンについて
学生の頃は、ベートーヴェンは「崇める聖人」として作品を捉えていました。
最近では、ソナタ全曲演奏や、研究を重ねて、より「人間的なベートーヴェン」を感じるようになって います。
ベートーヴェンが生きた時代、社会について知ること、また、彼が読んだであろう本の内容についてなど、そういった知識が増えていくことで、ベートーヴエンの思考回路を辿る道筋ができてきたように思います。
◆『皇帝』について
皇帝については、その通称から「輝かしさ」や「立派さ」をお感じになる方も多くいらっしゃると思います。
けれども、この曲が書かれたのはナポレオンがウィーンに侵攻した時期と重なっています。当時、ベートーヴェンは建 物の地下で大砲の音に耳を防ぎ、死への恐怖と共に過ごしていました。
そしてベートーヴェンはハンガリーへ避難するのです。
そのような最中に書かれた曲と考えると曲の捉え方もまた新しい光が当たるのだと思います。
そういった時代を生き抜くということ。そして音を紡いできた人たち。
このような心の奥にある”尊さ”や、”生きることの意味”は、ベートーヴェンの音楽の中に深く見出すことができます。
今回は演奏するにあたって、協奏曲ではありますが、弱音をも大切にし、細やかな心の襞(ひだ)を丁寧に描きたいです。
指揮、フェリックス・ミルデンベルガーさんとの初共演について
初めてご一緒します。とても楽しみです。
共演するときにいつも心がけるのは、最初の一音から一緒に音楽を創り上げる喜びを 大切にしたいので、先入観を持たないで向き合いたいです。
ミルデンベ ルガーさんはこういう音楽をつくる方かも?など考えてから取り組むと発見できないこともあるのではと思います。
それはもったいないことです。
ミルデンベルガーさん、関西フィルの皆様の『皇帝』への様々な思いがあって、それが 一緒になる喜びを味わいたいと思います。
お客様へのメッセージ
コンサートは、その時、その瞬間にうまれる化学反応で出来上がるのだと思います。
「ミルデンベルガーさん」「関西フィル」そして「お客様」と「私」
5 月 17 日にザ・シンフォニーホールにて、どのような音楽がうまれるのか。
ぜひご一緒いただけましたらと思います。
◆チケット
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お電話:06-6115-9911(平日10:00‐17:00、土曜日10:00‐16:00)