「トリスタンとイゾルデ」、いよいよ明日本番です!
皆さまこんにちは
昨日13日から、歌手の皆さんとの合わせが始まり、本日、
練習最終日です。
下記の写真、初歌合わせ1コマ目から全曲通しまして、
その後の放心状態の練習場
第3幕は約80分、休憩無しで演奏致します。
独唱の皆さまは8名いらっしゃいますが、その中でもダントツ歌いっぱなし
なのはトリスタン役の二塚直紀さん
3名の歌手の皆さん、右手前から牧童役の谷浩一郎さん(青いシャツ)、
トリスタン役の二塚直紀さん(白いTシャツ)、クルヴェナール役の
萩原寛明さん。
飯守さんのすぐ後ろに座ってらっしゃるのは、ピアノ稽古のピアニスト
から、オーケストラ合わせの飯守さんのアシスタントまでこなして
くださっている小梶由美子さんです。
二塚直紀さん、2011年5月の定期演奏会、「ジークフリート」第1幕の
ミーメ役でご出演いただいた時は暗譜で歌われ、新聞や音楽雑誌評でも
二塚さんの素晴らしいミーメがとても話題になりました。
今回はタイトルロールの大役をお願いしました!!
心理的・体力的にもかなりシビアなトリスタン役、ずいぶん前から
集中して練習されており、きっと練り上げられたトリスタンを
聴かせてくれること間違い無し
”トリスタン”は役名だけではなく、オーケストラの中でも大きな役割が
あるのです。
飯守さんが頻繁に
「みなさん、ここは”病めるトリスタン”です、
今のはなんだかマイスタージンガーみたいです!!」
「みなさん、トリスタン和音です!!」と注意喚起してらっしゃいました。
この「トリスタンとイゾルデ」には”トリスタン和音”という特別な和音が
使用されています。
具体的には、
ファ・シ・レ♯・ソ♯(ファ・ソ♯・シ・レ♯)
という4つの音の和音です。
ご自宅にピアノをお持ちの方は、ぜひ弾いて響きを確かめてください
安定していない、とても不安な気持ちになる響きです。
飯守さんがとても奥深く難しい説明をしてくださいました。。。
「トリスタン和音は変化していきたいエネルギーを秘めている
和音です。でもその動きは解決することはなく、
(ド・ミ・ソ、のように終わった!という和音になることを「和音が解決する」とよく言います。)
半音を多様しながら調性は曖昧になり、不安定な状況になるのです。
ワーグナーは、愛の問題、人の心の問題を描くのにこの作曲法が
一番良いと思ったのでしょう。
このトリスタン和音自体が、愛の問題そのもののようにも思います」
なるほど…
「このトリスタン和音は、基本的には3幕一番最後にしか解決しません。
各場の終わりなどに一応解決することはありますが、根本的に精神的には
オペラの最後にしか解決しないのです。
このオペラは主役の2人、トリスタンとイゾルデが亡くなって終わります。
本当の愛は生きている間には得られない、死をもって愛の問題が解決する、
ということなのです」
死なないと本当の愛が得られない、とはなんだか救いようの無い感じも
しますが、トリスタン和音、重要ですね~。
勢ぞろいの歌手のみなさん、右手前から谷さん、メーロト役の松原友さん、
オペラ最後で重要な”愛の死”を歌ってくださるイゾルデ役の畑田弘美さん、
二塚さん、出番が終わり一休み中の萩原さん、マルケ王役の片桐直樹さん、
ブランゲーネ役の福原寿美枝さん、舵取り役の黒田まさきさんです。
12日の記事で少しご説明しましたが、第1場で登場するバンダ
(オルガン前)のイングリッシュホルン(コーラングレ)は、
今回、読売日本交響楽団から北村貴子さんに来ていただいています。
イゾルデに寄せるトリスタンの想いに共鳴するようなイングリッシュホルン
のメロディー、オケ伴奏無しの完全なソロです。
それも結構な長さ
芳醇な音色でとても幅広い表現をしてくださっています。
どうぞお楽しみに
明日は、17:45から当日券を発売いたします。
19:00の開演に遅れられますと、ホール内にご入場できなく
なってしまいますので、お気をつけください。
18:40からの飯守さんのプレトークを目標にお越しくださいませ