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50周年記念コラム~未来の関西フィルへ Op.0525

皆さま、こんにちは

「50周年記念コラム~未来の関西フィルへ」第6回です。
今回は、楽団事務局員(ある企業からの出向者です)による
“つれづれシリーズ”(つれづれと書いてみたシリーズ)。
懐かしい2015年ヨーロッパ公演の写真も合わせてお楽しみください♪♪

 

 

僕が、ある企業からの出向で関西フィルの専務理事になって
この4月で5年になりました。

2年くらい前から、楽団50周年に何をしようか、その資金は
どうしたらいいか、楽団の外部と内部にどのように伝え
盛り上げていったらいいか考え始め、準備万端、さあスタート!
という時に何もできなくなりました…。

でも楽団が50周年であることには変わりありません。
楽団名も関わる人も移り変わってきましたが、そのバトンを引き継ぎ、
今できることをやって次の世代にバトンを渡していきたいと思います。

と、冒頭堅苦しいことを書きましたが、オーケストラにもクラシック
音楽にも縁のなかった、企業の一会社員が、この世界で感じていることの
一部を書いてみます。

 

 ◆音楽監督のデュメイさんは現在、ベルギー・ブリュッセル在住で、
年に3回、演奏会のタイミングに合わせて来日、数週間滞在します。
その間に、1~2回ミーティングをします。

来期のプログラムの話、契約の話、議題は様々です。
デュメイさんはフランス人ですから当然母国語はフランス語ですが、
それではミーティングにならないので英語で話してくれます。
クセのない分かりやすい英語(のはずです)を話してくれます。
でも、話が込み入ってきたり感情的になるとフランス語が出てきて
訳が分からなくなります。

僕は、毎回一言はフランス語を話すことにしていて、直前に勉強して
「コマンタレヴ」とか「メルシヴォークゥ」とか声を掛けます。
「君のフランス語はフランス人より上手だね」と褒めてくれますが、
本人は一言の日本語も話されません。

2015年にデュメイさんとヨーロッパ公演に行った時、スイスやイタリア、
ドイツの聴衆がデュメイさんに贈る拍手が、家族のような温かさだった
ことは今も忘れません。

 

♪デュッセルドルフ(ドイツ)の公演にて

 

「ムッシュー、日本でクラシック人口が減っているとか高齢化しているとか
言うけど、ヨーロッパのほうがもっとひどいよ。フランスやドイツの
若い人なんか、ベートーヴェンを聴いたことない人はたくさんいるよ。」
とおっしゃっていたことも印象的でした。 

僕はデュメイさんの指揮・演奏するフランスの小品、ラヴェルや
ドビュッシーが大好きです。
それから、有名で聴き慣れた交響曲をどんなリズムで、どんな解釈で
指揮されるのかいつもワクワクします。

他の指揮者なら絶対やらないようなことをする、本当にデュメイさんは
ヨーロッパのど真ん中の人だと思います。

 

♪ベルガモ(イタリア)の丘の上からの風景(旧市街)

 

首席指揮者の藤岡幸夫さんは早起きです。
「僕は朝勉強するからね」とのこと。
これも2015年、ヨーロッパ公演に行った時。
全行程を藤岡さんに同行いただきましたので10日以上もの間、
僕は藤岡さんと同じホテルに泊まりました。

 

♪2015年マルティニー(スイス)の演奏会場、ゲネプロ前に。

 

どのホテルも朝食はビュッフェスタイルで、6時半か7時開始です。
朝、レストランに行くと必ず藤岡さんが先に食事をしていて、
「おはようございます。こっちに来て!」とハイテンションで
声がかかります。
僕もそれほど朝は苦手ではないですが、藤岡さんの一勉強した後の
テンションにはかないません。
ある朝、絶対藤岡さんより先に朝食を済ませようと開店の15分前に
行ったら、既に藤岡さんが待合席に並んでいました。

藤岡さんはいつも前向きで情熱的で、こちらが落ち込んでいる時には
勇気を与えてくれます。
この苦境の中でも、
「出口が見えたら、どこもやってないような関西フィルらしい
コンサートを絶対やろうよ!」と毎日のように電話で話してくれます。

藤岡さんのこういう魅力に多くの人が惹かれるのですね。

 

♪ベルガモ公演にて。客席のどこかに藤岡さんと筆者が。。

 

桂冠名誉指揮者、飯守泰次郎さんとのエピソードは、またお伝えできればと思います。

では、次の「5」の付く日にお会いしましょう!