みなさまこんにちは♪
50周年記念コラム、Op.0805です。
今回は事務局スタッフの”横顔シリーズ”、「そんな所へ!?」編。
旅行好きのスタッフがいるのですが、
思わず「その国はどこにあるんでしたっけ?」と尋ねてしまう
国に旅行に行っています。
今回はウズベキスタンに行った時のことを。
ウズベキスタン、西の方ですよね…。
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ウズベキスタンへ行ったのは2007年4月です。
もともと中央アジアの歴史が好きだったのですが、
「中央アジア」といえば現在は東側が中国領の新疆ウイグル自治区、
西側が旧ソ連領だった中央アジア5か国
(カザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、
キルギスタン)になっています。
新疆ウイグル自治区は行ったことがあるので、西側にも行きたいと
思っていました。西側の5か国のうち主要な史跡が多く、日本からも
パックツアーが出ているので行きやすいのがウズベキスタンです。
関空発の飛行機に6時間乗り、ウズベキスタンの首都タシケントへ到着、
次の日にブハラという街に移動しました。
ブハラは紀元前からオアシスの都市として栄えましたが、現在は
ティムール帝国時代(14~15世紀)の町がベースになっています。
当時のモスクや宮殿、メドレセ(イスラム学校)、
バザールなどが残っています。
ウズベキスタンでも一番の観光地、サマルカンドへも行きました。
ティムール帝国時代に首都だった街で、青いタイルが美しい
イスラム風の建物がいくつも残っていることから「青の都」とも
呼ばれます。
特に有名なのがレギスターン広場(世界遺産)です。
広場を囲むように三つのメドレセが建っています。
いずれも美しい青いタイルで装飾されています。
ただし今は、中は全てお土産屋さんです。
レギスターン広場のウルグ・ベク・メドレセ
その中の、楽器を売っているお土産屋さんで、“サントゥール”という
イランの伝統楽器に似た楽器を見つけました。
サントゥールより小型のように見え、お店の方に楽器の名前を聞くと
「チャン」と言っているように聞こえましたが、独自の楽器なのか
サントゥールそのままなのかまではわかりませんでした。
サントゥールはイラン(ペルシア)発祥の伝統楽器で、台形の板に
金属の弦を張り、細い木のバチで叩いて演奏します。
金属的な音ですが、複数の弦を一度に叩くため複雑で華やかな音がします。
この“サントゥール”は、東の方に渡って中国で「楊琴(ようきん)」という
楽器になり、西の方に渡って様々な楽器に変貌しています。
ハンガリーのジプシー音楽では、よく似た形で「ツィンバロム」という
楽器として使われています。
また、ヨーロッパではこの楽器に鍵盤を付け、弦をはじいて音を出す形式の
「チェンバロ」が発明されました。
さらに、鍵盤を押すと弦をハンマーで叩いて音を出す楽器が生まれました。
これがピアノです。つまりサントゥールはピアノの先祖とも言えるのです。
イランのサントゥールが東方に伝わっていく途中、サマルカンドでは
この形で残ったのだろうか、と感慨深く思いました。
この時の旅の私の第一目的は、ウズベキスタンの南端にある
カラテパ遺跡でした。
カラテパ遺跡はウズベキスタン南部のスルハンダリヤ州の町、
テルメズの郊外にあるガンダーラ時代(1~3世紀頃)の遺跡です。
ガンダーラ文化は主に西北インドからパキスタン、アフガニスタンに
かけて、クシャーン王朝の時代に最も栄えた文化で、
仏教が厚く信仰されました。
7世紀に唐の国から仏典を求めて旅をした玄奘三蔵(三蔵法師)も
ここを訪れたことがあります。
サマルカンドから自動車でほぼ1日がかりでテルメズに向かいました。
テルメズに向かう途中の光景
カラテパ遺跡には、日干し煉瓦の寺院の跡で、僧房と思われる四角い
区画の壁に仕切られた建物や、仏塔の跡や回廊に囲まれた
建物などがあります。
建物の壁には仏龕(ぶつがん)も多数ありますので、多くの仏像が
あったと思われます。
アフガニスタンやパキスタンのガンダーラ遺跡は主に石でできていますが、
テルメズの遺跡は日干し煉瓦でできています。
私は日干し煉瓦の遺跡が大好物なので、隅から隅まで喜々として見て回りました。
様々な物、文化、人が行き交った「シルクロード」の初期から最盛期に
向かう時代(紀元前2~後3世紀)。
仏教はここから中央アジアへ広がり、中国に達してやがて日本にも
伝わりました。
仏教だけではなく、仏像はもちろん寺院に使われた西方の影響を持つ装飾、
織物、工芸品、さらには食べ物に至るまで…。
砂漠の中に土の色と同じ日干し煉瓦の遺構が広がる情景は、
一見不毛の地のように見えますが、長い年月のうちに東西へ
広がっていった豊かな文化の交流の痕跡を秘めているのです。
カラテパの発掘品。「ウズベキスタン考古学新発見」(加藤久祚編著:東方出版)より
最後にウズベキスタンの食事ですが、全食事付きのパックツアーなので、
現地のおいしいものを色々食べられました。
イスラム圏の代表的な食べ物といえば羊肉のシシカバブ。
(ウズベキスタンはイスラム教の国なので豚肉はタブーです。)
シシカバブは、羊肉を鉄の串にさして焼いてスパイスをかけたお料理です。
そしてプロフという米料理。
野菜などの具材と一緒に炒めたご飯の上にチキンが載っていました。
ラグメンという、うどんのような麺料理、小麦粉で作った皮に
肉や野菜などの具材を包んだ餃子に似た食べ物もありました。
食事の時は色とりどりの野菜のサラダ・ナン・紅茶が付いてきます。
ウズベキスタンのナンは丸い形で中央がふっくらしていました。
どれもおいしくて、毎食、食べ過ぎてしまいました。
ウズベキスタンへは一般向けのパックツアーがいろいろな
旅行社から出ています。
日本から行きやすい「中央アジア」です。
コロナが収まって海外旅行に行けるようになったら、
候補地の一つとして検討してみませんか。
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日干し煉瓦がお好きは方はぜひウズベキスタンへ!!
美しい建築物も数多くあるようですので、ぜひ画像検索
してみてください~。
では、また”5”の付く日に♪♪